訃報 〓 カーライル・フロイド(95)アメリカの作曲家

2021/10/02
【最終更新日】2023/02/06

アメリカの作曲家カーライル・フロイド(Carlisle Floyd)が9月30日に亡くなった。95歳だった。旧約聖書の外典からの物語を現代のテネシー州の田舎に移し、セリフを南部の方言で書いた《スザンナ》など、現代社会の歪みに目を向けたオペラを数多く作曲したことで知られる。

サウスカロライナ州ラッタの生まれで、メソジスト牧師の家庭で育ち、スパルタンバーグのコンバース大学、ニューヨーク州シラキュース大学で学んだ。卒業後、フロリダ州立大学でピアノの講師を務めながら作曲活動をスタートさせ、後にピアノと作曲の教授を歴任した。

1949年の《遅い夕暮れ》から1955年の《スザンナ》、1958年の《嵐が丘》、1970年の《鼠と人間》、1976年の《ビリーの人形》、2000年の《冷たい生意気な木》など、発表されたオペラは13作品。その貢献で、2004年には国民芸術勲章が贈られている。

旺盛な創作欲は晩年まで衰えることなく、89歳だった2016年には、17世紀王政復古期のイギリスで絶大な人気を誇った最後の女形スター、エドワード・キナストンを主人公にした《役者王子》を発表している。

写真:National Medal of Arts award / Susan Sterner


関連記事

  1. ベルリン発 〓 ベルリン・フィルの首席トランペット奏者アンドレ・ショッホが退団、大学での指導に専念

  2. パレルモ発 〓 マッシモ劇場が2022/2023シーズンの公演ラインナップを発表

  3. シンシナティ発 〓 シンシナティ・オペラがサマーフェスティバルのスケジュールを発表

  4. トロント発 〓 トランペットのコレッティが「カナディアン・ブラス」を退団

  5. オークランド発 〓 「ASBシアター」が「キリ・テ・カナワ劇場」に改名

  6. ミュンヘン発 〓 バイエルン州立バレエ団が空席の監督にローラン・イレール

  7. 訃報 〓 マルティン・トゥルノフスキー(92)チェコ出身の指揮者

  8. モンテカルロ発 〓 モンテカルロ歌劇場が《マノン・レスコー》の公演で、マリア・アグレスタの代役にアンナ・ネトレプコを起用

  9. 訃報 〓 グウェンドリン・キルブリュー(80)アメリカのメゾ・ソプラノ歌手

  10. ヴィースバーデン発 〓 パトリック・ランゲが任期残してヘッセン州立劇場の音楽総監督を退任、芸術総監督との方向性合わず

  11. ヴェッセルビューレン発 〓 五嶋みどりに「ブラームス賞」

  12. 高雄発 〓 台湾の衛武営国立芸術文化センターが《椿姫》を上演

  13. パリ発 〓 フランス政府が文化施設の閉鎖を5月19日に解除

  14. ボローニャ発 〓 人気演出家のダミアーノ・ミケレットが映画監督デビュー

  15. ライプチヒ発 〓 ライプチヒ歌劇場が2022年にワーグナー音楽祭、13の歌劇と楽劇を集中上演

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。