訃報 〓 ヘルムート・ヴィンシャーマン(101)ドイツの指揮者・オーボエ奏者

2021/03/06
【最終更新日】2023/02/06

ドイツの指揮者ヘルムート・ヴィンシャーマン(Helmut Winschermann)が4日、ボンの自宅で亡くなった。101歳だった。オーボエ奏者から指揮者に転じ、ドイツ・バッハ・ゾリステンを率いてバッハを始めとするバロック音楽の普及に尽力した。また、多くの後進を育てたことで知られる。

ルール地方ミュールハイムの生まれ。エッセンとパリでオーボエを学び、アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団などのソロ奏者を務めた後、1960年にドイツ・バッハゾリスデンを創立。その後、50年にわたって芸術監督を務め、バッハの解釈、演奏で世界的な演奏団体に育て上げた。

そのかたわら、デトモルトにある北西ドイツ音楽院教授として多くの門下生を育てたことでも知られ、日本の演奏家では宮本文昭、安原理喜、北島章たちが門下から巣立っている。90歳を超えてない演奏活動は衰えず、2012年には東京、大阪で有志の音楽家を集めてヨハネ受難曲の演奏に取り組んでいた。

録音も多く、複数のレーベルで100タイトル以上がリリースされており、長年の功績が称えられ、ドイツ政府の一等功労十字勲章の他、エディソン賞、グスタフ・マーラー賞、ドイツ・ヘンデル賞など受賞多数。ロンドン王立音楽アカデミーからも「名誉会員」の称号を贈られている。

写真:Kiyotane Hayashi


関連記事

  1. チューリッヒ発 〓 トーンハレ管が音楽監督のパーヴォ・ヤルヴィとの契約を延長

  2. アムステルダム発 〓 オランダ放送フィルが首席指揮者のカリーナ・カネラキスとの契約を延長

  3. パリ発 〓 バレンボイムが久方ぶりにパリ管を指揮、1989年の退任後初めてその指揮台に

  4. マルセイユ発 〓 マルセイユ歌劇場が2023/2024シーズンの公演ラインナップを発表

  5. バーデン=バーデン発 〓 来年の復活祭音楽祭のオペラはチャイコフスキー《マゼッパ》

  6. ロッテルダム発 〓 コンサートマスターが就任半年で退団、ロッテルダム・フィル

  7. バイロイト発 〓 バイロイト音楽祭がキャスト交代を発表。ジョン・ルンドグレンを《ワルキューレ》のヴォータン、《ジークフリート》のさすらい人に起用、来年から上演始まる新制作の《ニーベルングの指環》で

  8. ニューヨーク発 〓 メトロポリタン歌劇場が“Nightly Met Opera Streams”の終了を発表

  9. サンティアゴ・デ・コンポステーラ発 〓 2022年12月をもって、ポール・ダニエルがスペインのガリシア王立フィルの芸術監督を退任

  10. ザルツブルク発 〓 1592年にオープンの老舗楽譜店が閉店

  11. ウィーン発 〓 国立歌劇場が新制作の《パルジファル》を18日にストリーミング

  12. コッレッジョ発 〓 レオ・ヌッチが引退を“宣言”

  13. ニューヨーク発 〓 ニューヨーク・フィルが2020/2021シーズンをキャンセル、178年で初

  14. 訃報 〓 セルゲイ・スロニムスキー(88)ロシアの作曲家

  15. デイトン発 〓 原田慶太楼がデイトン・フィルの次期音楽監督・芸術監督に

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。