ミュンヘン発 〓 ワーグナーの曽孫エヴァ・ワーグナー=パスキエ、イザール川で仮死状況で発見されるも昏睡状態

2021/09/04
【最終更新日】2022/08/03

作曲家ワーグナーの曽孫で2008年から2015年までバイロイト音楽祭の芸術監督、運営理事長を務めたエヴァ・ワーグナー=パスキエ(Eva Wagner-Pasquier)がミュンヘンのイザール川で仮死状況で見つかり、緊急搬送されたが昏睡状態にあるとドイツのメディアが報じている。

現地の報道をまとめると、エヴァが発見されたのは7月29日。ある男性がイザールに女性が浮いているのを見付け、緊急車を呼んだという。エヴァは76歳で、現場近くに居住。河畔をよく散歩していたこと、健康状態が悪かったこと、これまでに数度の眼科手術を受けていることから、捜査当局はつまずいて川に転落した可能性などを調べているという。

エヴァはワーグナーの孫ヴォルフガング・ワーグナーとその最初の妻エレン・ドレクセルの娘。1967年から1976年まで音楽祭で父の助手を務め、1976年の音楽祭創立100周年を記念するパトリス・シェロー演出の《ニーベルングの指環》に携わった。

しかし、同時期の両親の離婚を受けて音楽祭を離れ、アウグスト・エファーディング、オットー・シェンクの助手を務め、ウィーン国立歌劇場の運営にも参画。また、フランスの映画監督イブ・パスキエと結婚、1982年には長男アントワーヌ・アマデウス・パスキエが誕生している。

その後も、ロンドンのロイヤル・オペラ、パリ国立オペラでプログラム編成部門の責任者となり、エクス=アン=プロヴァンス音楽祭、マドリードのテアトロ・レアル、ニューヨークのメトロポリタン歌劇場の芸術アドバイザーを兼任した。

2001年にはそのキャリアを買われ、音楽祭を監督するバイロイト音楽祭財団の評議会から22対2の多数決で将来の音楽祭総監督に指名される。しかし、後継者に二番目の妻グードルンを望んだヴォルフガングがこの評決の受諾を拒否したことから実現しなかった。

2007年末にグードルンが急逝。これを受けて2008年になってヴォルフガングが二人の娘(エヴァとグードルンとの間の娘カタリーナ)を後継者に指名して退任する意向を表明。財団評議会がこれを認め、二人による共同体制が確立された。しかし、その難しさを理由に2015年の音楽祭を最後に音楽祭を去っている。

2019年からは3年の任期で、ピアノ界の最長老アルフレート・ブレンデルらが協力してミュンヘンに誕生したクラシック音楽の音楽祭「スターズ・アンド・ライジングスターズ」のコンサルタントを務めていたという。音楽祭は7月6日から17日の日程で行われている。

写真:Nordbayerischer Kurier / Harbach


関連記事

  1. ルツェルン発 〓 ピアノのアルゲリッチが約1ヵ月ぶりに現場復帰、心臓の検査と治療経て

  2. パリ発 〓 フランスの夏の音楽祭も相次いで中止を発表

  3. ミュンヘン発 〓 ミュンヘン国際音楽コンクールのチェロ部門で佐藤晴真が優勝

  4. ヴェッセルビューレン発 〓 五嶋みどりに「ブラームス賞」

  5. ゲラ発 〓 ソプラノのアスミク・グリゴリアンにドイツの演劇賞「ファウスト賞」

  6. トロント発 〓 カナディアン・オペラ・カンパニーが2020/2021シーズンの公演ラインナップを発表

  7. バーミンガム発 〓 第6回「エフゲニー・スヴェトラーノフ国際指揮者コンクール」でイスラエルのミハル・オーレンが優勝

  8. モスクワ発 〓 ボロディン弦楽四重奏団の新リーダーにニコライ・サチェンコ

  9. ミュンヘン発 〓 バイエルン放送交響楽団の本拠地となる新たなホール建設へ

  10. ストックホルム発 〓 2024年のノーベル賞コンサートの指揮はペトル・ポペルカ、マリン・ビストレムが出演

  11. プラハ発 〓 チェコ・フィルが聴衆なしのコンサートをストリーミング配信

  12. パリ発 〓 ミルガ・グラジニーテ=ティーラがフランス放送フィルの首席客演指揮者に

  13. ウィーン発 〓 ポリーニが10ヵ月ぶりに現場復帰

  14. ウィーン発 〓 オーストリア音楽劇場賞が2026年の受賞者を発表

  15. デュッセルドルフ発 〓 シューマンの旧居の改修工事始まる、博物館としてリニューアル

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。