訃報 〓 ウテ・ヴァルター(83)ドイツのメゾ・ソプラノ歌手

2026/06/13

ドイツのメゾ・ソプラノ歌手ウテ・ヴァルター(Ute Walther)が6月6日に亡くなった。旧東ドイツを代表する歌手の一人で、ドレスデン国立歌劇場を中心に活躍。1986年からは西ドイツのベルリン・ドイツ・オペラを拠点に国際的に活躍した。

イエナで生まれで、母親が歌手、父親が指揮者という家庭で育ち、ベルリン音楽大学で学んだ後、1968年にシュヴェリーン歌劇場でリヒャルト・シュトラウス《薔薇の騎士》のオクタビアンで初舞台を踏んだ。ロストック市立劇場の専属歌手(1974ー1980)を経て、ドレスデン国立歌劇場に。1985年2月には、先の大戦の空襲で破壊された跡、再建が続いていた国立歌劇場(ゼンパー・オーパー)の再開場記念公演でオクタビアンを歌っている。

その直後、西ドイツに亡命。翌1986年からは演出家のゲッツ・フリードリヒが総監督を務めるベルリン・ドイツ・オペラに移籍。2007年まで主力歌手として600回以上の公演に出演、1987年には《ニーベルングの指環》の日本ツアーに参加、フリッカとヴァルトラウテを演じている。

また、1992年にライマンの《城》世界初演でオルガを歌い、リヒャルト・シュトラウス《ナクソス島のアリアドネ》の作曲家、ヴェルディ《アイーダ》のアムネリス、ワーグナー《ニーベルングの指環》のフリッカ、ヴァルトラウテ、ブランゲーネなどを持ち役に。フンパーディンク《ヘンゼルとグレーテル》の魔女役を演じてベルリン・ドイツ・オペラを退団、オペラの世界から引退した。

在籍中、ウィーン国立歌劇場でオクタビアンの他、ヨハン・シュトラウス二世の《こうもり》オルロフスキーを歌っている他、旧ソ連時代にボリショイ劇場、スペインのテアトロ・レアルなどで歌い、英国のエディンバラ音楽祭などに客演している。

2016年にはベルリンのルネッサンス劇場で、ロナルド・ハーウッド作のオペラ四重奏曲《カルテット》に出演して舞台に復帰。老齢のオペラ歌手4人を描いたこの作品では、カラン・アームストロング、ルネ・コロ、ヴィクトル・フォン・ハーレムと共演している。

写真:Deutsche Oper Berlin / Kranichphoto





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