カルロヴィ・ヴァリ発 〓 市議会が地元オーケストラの楽団長を突如解任、それを受けて首席指揮者が抗議の辞任、楽団員は解任撤回の署名集めをスタート

2021/02/25

チェコのカルロヴィ・ヴァリ交響楽団(Karlovy Vary Symphony Orchestra)で23日、楽団長が市議会によって突然解任されたことを受け、首席指揮者が解任の理由が明らかにされていないと抗議して辞任、楽団員は解任撤回を求める市民の署名を集める騒ぎが起きている。署名は1日で1000人を突破したという。

解任されたのは楽団長のペトル・ポリーフカ(Petr Polívka)で、辞任したのは2015/2016シーズンから首席指揮者を務めてきたヤン・クチュラ(Jan Kučera)。現地の報道を総合すると、解任の背景には、コロナ禍で財政難に陥った市が求めたオーケストラの人員削減が進まなかったことがあるとみられる。

カルロヴィ・ヴァリはチェコ西部にある人口5万人強の街。ドイツ語名のカールスバートという名前でも知られ、温泉保養地として名高い。オーケストラは1935年の創設で、徐々に規模を拡大。1894年にはドヴォルザークの交響曲第9番《新世界より》のヨーロッパ初演を行うまでに成長した。

初演後も作曲家本人の来訪が続いたこともあり、1958年からは毎年秋、オーケストラが中心となったドボルザーク秋音楽祭も開催されている。また、日本でも馴染みの深いラドミル・エリシュカ(Radomil Eliška)が1969年から1990年まで首席指揮者を務めていた。


関連記事

  1. コシツェ発 〓 文化大臣が国立劇場と国立美術館の館長を解任したことにスロヴァキアで大きな反発、コシツェ国立フィルの首席指揮者が抗議の辞任

  2. ミュンヘン発 〓 ドイツ・サッカー界の“皇帝”フランツ・ベッケンバウアーの追悼式でカウフマンが熱唱

  3. ゲラ発 〓 ソプラノのアスミク・グリゴリアンにドイツの演劇賞「ファウスト賞」

  4. ナント発 〓 国立ロワール管が新シーズンのラインナップ発表を見送り

  5. グロッセート発 〓 第1回「セルゲイ・クーセヴィツキー国際指揮者コンクール」で出口大地が最高位

  6. ワシントン発 〓 ヨーヨー・マがロシア大使館前の歩道で独り演奏、ウクライナ侵略に抗議

  7. ボストン発 〓 フェニックス管弦楽団の次期音楽監督にジョシュア・ワイラースタイン

  8. モントリオール発 〓 モントリオール響がロシアの若手ピアニストの出演をキャンセル、ウクライナ・コミュニティーと楽団員の反発で

  9. エッセン発 〓 ドイツの老舗音楽月刊誌「フォノ・フォルム」廃刊へ

  10. ロンドン発 〓 ヘンデルの旧居が来年5月、リニューアル・オープン

  11. フィラデルフィア発 〓 マリン・オールソップがフィラデルフィア管の首席客演指揮者に

  12. チューリッヒ発 〓 ゲザ・アンダ国際ピアノコンクールはロシアのイリヤ・シュムクレールが優勝

  13. 東京発 〓 新国立劇場が2022/2023シーズンの新制作、ムソルグスキー《ボリス・ゴドノフ》を無料ストリーミング配信

  14. ハノーファー発 〓 州立劇場が音楽総監督のステファン・ジリアスとの契約を延長

  15. ロンドン発 〓 ヴィットリオ・グリゴーロ降板の裏にセクハラ

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。