クリーブランド発 〓 クリーブランド管がセクハラ認定、コンサートマスターと首席トロンボーンを解任

2018/10/25
【最終更新日】2022/05/28


クリーブランド管弦楽団(Cleveland Orchestra)がコンサートマスターのウィリアム・プリュシル(William Preucil)、首席トロンボーンのマッシモ・ラ・ローサ(Massimo La Rosa)の二人の解任を発表した。理由はともにセクシャルハラスメント。

プリュシルは今年8月、「ワシントン・ポスト」紙の報道によってセクハラ疑惑が浮上。それを受けてオーケストラの理事会は独立した調査委員会を起ち上げた。その調査の過程でラ・ローサについての疑惑も浮上した。

その後、二人に対して別の女性からの申し立ても続き、オーケストラは二人の出演を見合わせていた。調査委員会は被害者の指名などについては公表していないが、二人について複数の女性の生徒や同僚との性的違法行為や性的嫌がらせ行為あったとしている。

プリュシルは1958年、米国ミシガン州ディアボーンの生まれ。ユタ交響楽団、ナッシュビル交響曲、アトランタ交響楽団のコンサートマスターを経て、1989年にクリーブランド弦楽四重奏団の第1ヴァイオリン奏者に就任。その後、1995年にクリーブランド管弦楽団にコンサートマスターとして入団した。

また、ニューヨークの「モーストリー・モーツァルト・フェスティバル」オーケストラのコンサートマスターなども数多く務めるなど、米国を代表するコンサートマスターの一人。チェリストのヤーノシュ・シュタルケルの娘との間の娘アレクサンドラはクリーブランド管弦楽団でアシスタント・コンサートマスターを務めている。

一方のラ・ローサは1974年、イタリアのパレルモ生まれ。1996年にベネチアのフェニーチェ歌劇場管弦楽団に首席奏者として入団した。

2007年に首席奏者としてクリーヴランド管弦楽団に入団するまで、ミラノ・スカラ座、サンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団など、イタリア各地のオーケストラにゲストとして数多く客演してきた。公演、マスタークラスなどで頻繁に来日、「サイトウ・キネン・フェスティバル」にも客演している。

プリュシル、ラ・ローサともにクリーブランド音楽院で学生の指導に当たってきたが、既に二人とも職を辞している。

写真:Cleveland Orchestra


    もっと詳しく ▷


関連記事

  1. プラハ発 〓 チェコ・フィルが聴衆なしのコンサートをストリーミング配信

  2. ルツェルン発 〓 ピアノのアルゲリッチが約1ヵ月ぶりに現場復帰、心臓の検査と治療経て

  3. トリノ発 〓 王立歌劇場がストリーミング配信、毎日違った作品をアップ

  4. パリ発 〓 アンサンブル・アンテルコンタンポランの次期音楽監督にピエール・ブリューズ

  5. ベルリン発 〓 ピアノのラルス・フォークトがインタビューでがん闘病語る

  6. ロンドン発 〓 ソンドラ・ラドヴァノフスキーがロイヤル・オペラの日本ツアーへの出演をキャンセル

  7. ローマ発 〓 フィレンツェ歌劇場の総裁に就任したばかりのカルロ・フォルテスに対し、労働安全規則違反で16カ月の実刑判決

  8. アムステルダム発 〓 ロイヤル・コンセルトヘボウ管が2024/2025シーズンの公演ラインナップを発表、クラウス・マケラと全米ツアー

  9. ボーフム発 〓 ボーフム響の音楽総監督を務めるトンチエ・チュアンが任期満了の2025/2026シーズンで退任

  10. ロンドン発 〓 ロンドン・フィルが首席指揮者のエドワード・ガードナーとの契約を延長

  11. ベルリン発 〓 ベルリン・フィルが空席の首席ホルン奏者に中国の24歳、ユン・ゼンを採用

  12. ウィーン発 〓 国立歌劇場が2021/2022シーズンの公演ラインナップを発表

  13. ベルリン発 〓 作曲家のジョン・ウィリアムズが6月のベルリン・フィルのコンサートをキャンセル

  14. パリ発 〓 パリ国立オペラが2024/2025シーズンの公演ラインナップを発表

  15. 訃報 〓 シルヴィア・ゲスティ(84)ハンガリーのソプラノ

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。