訃報 〓 モンセラート・カバリェ(85)スペインのソプラノ歌手

2018/10/07
【最終更新日】2023/02/17

スペインが生んだ世界的なソプラノ歌手、モンセラート・カバリェ(Montserrat Caballé)6日、故郷バルセロナの病院で亡くなった。85歳だった。死因は明らかにされていないが、9月から胆のうの病気で入院していた。優れたベルカント歌唱技術と美声で活躍、20世紀最高のソプラノ歌手の一人。

1933年、バルセロナの生まれ。リセウ音楽院で学んだ後、ミラノで研鑽を積み、1956年にスイスのバーゼル歌劇場のメンバーとなり、1957年の《ボエーム》のミミ役でプロのオペラ歌手としてデビューした。

1965年にニューヨーク市のカーネギー・ホールで行われた演奏会形式で行われた《ルクレツィア・ボルジア》の公演でマリリン・ホーンの代役を務め、25分も拍手が続くというセンセーショナルな大成功を収め、一夜にしてスター歌手の仲間入りを果たした。

その年、《ファウスト》のマルグリットを歌ってメトロポリタン歌劇場にもデビュー。その後は著名なオペラハウスに次々にデビューを果たし、瞬く間にスター歌手の座を駆け上った。

50年以上にわたるキャリアの中で世界各地で行った公演は4000回以上と言われ、後輩の面倒見も良く、同じバルセロナ出身のホセ・カレーラスがなかなか芽が出ないため、自分に出演依頼が来ると、バーターで彼を出演させ、経験を積ませたことはよく知られる。

一線から退いた後も、ドイツのテレビ番組などで活躍。1988年には、英国のロックバンド「クイーン」のボーカルだった故フレディ・マーキュリーとのデュエット・アルバムを発表。その中の一曲「バルセロナ」は1992年のバルセロナ・オリンピックのテーマ曲として使われた。開会式には、三大テノールに成長したホセ・カレーラス、プラシド・ドミンゴと一緒に出演している。

2015年に脱税で有罪判決(6ヵ月の執行猶予付)を受け、久しぶりにマスコミを騒がせた。

写真:Pedro Sánchez@sanchezcastejon







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