南アフリカのソプラノ歌手ミミ・コアース(Mimi Coertse)が4月27日、プレトリアの自宅で亡くなった。10年にわたってウィーン国立歌劇場を中心に活躍、国立歌劇場から「宮廷歌手」の称号を授与された初の南アフリカ人歌手として知られる。41歳で帰国した後は、奨学金を設立して母国の後進の支援に尽力した。
インド洋に臨む港湾都市ダーバンの生まれ。オランダ系ボーア人家庭で育ち、1954年にウィーン音楽院に留学して18ヵ月在学した後、1955年にナポリのサン・カルロ劇場でカール・ベーム指揮によるワーグナー《パルジファル》の「第一の花売り娘」役を歌ってオペラの初舞台を踏んだ。1956年にはモーツァルト《魔笛》の夜の女王役でウィーン国立歌劇場に初めて出演、それを機に史上最年少で歌手陣に加わった。
この年、英国のロイヤル・オペラにも夜の女王役でデビュー。しかし、母国の人種隔離(アパルトヘイト)政策の煽りを受けて英国では出演の機会に恵まれなかった。1966年に「宮廷歌手」の称号を授与されたウィーン国立歌劇場には1978年まで在籍。ドンナ・アンナ、ドンナ・エルヴィラ、フィオルディリージ、伯爵夫人などを演じ、最後にヴェルディ《ドン・カルロ》のエリザベッタ役を歌っている。
ヘルベルト・フォン・カラヤン、カール・ベーム、ロリン・マゼールらと共演を重ね、キャリアがピークを迎えていた1973年に41歳で帰国。帰国後はオペラやコンサートへの出演に加え、ラジオやテレビの放送にも出演。奨学金を設立して若手歌手に留学の機会やフル・オーケストラとの共演の場を提供した。また、リサイタルなどでは南アフリカの作曲家の作品を積極的に取り上げ、その紹介にも熱心だった。
写真:Deaan Vivier
訃報 〓 ミミ・コアース(93)南アフリカのソプラノ歌手
2026/05/01
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