イタリアのソプラノ歌手チェレスティーナ・カサピエトラ(Celestina Casapietra)が8月10日、故郷ジェノヴァで亡くなった。85歳だった。1960年代から旧東独のベルリン国立歌劇場に所属しながら、ウィーン国立歌劇場やバイエルン州立歌劇場、ザルツブルグ音楽祭など国際的な舞台で活躍した。
ジェノヴァで学んだ後、ミラノ音楽院に進み、1961年にミラノのテアトロ・ヌオーヴォでジョルダーノ《マリアの唇》にジェンナ役で出演して初舞台を踏んだ。その後、旧東独の指揮者のヘルベルト・ケーゲルとの出逢いから、1965年からベルリン国立歌劇場に所属、1966年にはケーゲルと結婚した(1983年に離婚)。
ベルリンでは、モーツァルト《ドン・ジョヴァンニ》のドンナ・アンナ、ウェーバー《魔弾の射手》のアガーテ、チャイコフスキー《エフゲニー・オネーギン》のタチアーナ、ジョルダーノ《アンドレア・シェニエ》のマッダレーナなど多くの主役を歌い、旧東独政府から「宮廷歌手」の称号を贈られている。
そのかわたら、ボリショイ劇場など東側の劇場への出演に加え、ウィーン国立歌劇場、バイエルン州立歌劇場、ハンブルク州立歌劇場、フェニーチェ劇場、ザルツブルグ音楽祭といった西側の舞台にも数多く客演している。
ドイツ統一後の1992年、ダニエル・バレンボイムがベルリン州立歌劇場の音楽総監督に就任すると対立、1993年に契約解除を伝えられたことで劇場を提訴、裁判に勝訴している。ドイツ版の《コジ・ファン・トゥッテ》の他、フランコ・コレッリ、ピエロ・カプッチッリらと共演したジョルダーノ《アンドレア・シェニエ》などの残された録音も多い。
写真:Eterna
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