訃報 〓 トーマス・ヨハネス・マイヤー(56)ドイツのバリトン歌手

2025/12/17

ドイツのバリトン歌手トーマス・ヨハネス・マイヤー(Thomas Johannes Mayer)が亡くなった。56歳だった。オペラ界の第一線で活躍していたが、心臓に持病を抱えていた。11月後半に日本の新国立劇場のベルク《ヴォツェック》でタイトルロールを歌ったのが最後のオペラ出演で、3回目の出演から体調不良で降板していた。

ドイツ南西部ベンスハイムの生まれ。哲学、歴史、音楽学を学んだ後、ケルン音楽大学でリーゼロッテ・ハメスとクルト・モルに師事して声楽を学んだ。レーゲンスブルク、ダルムシュタット、バーゼル、カールスルーエ、ハンブルクと活躍の場を広げ、その後、国際的な著名な歌劇場への出演を重ねていた。

ワーグナー作品を得意とし、ドイツ・バイロイトのワーグナー音楽祭には2012年、ハンス・ノイエンフェルス演出の《ローエングリン》のテルラムント役でデビュー。持ち役は80を超え、ドン・ジョヴァンニ、ヴォツェック、マクベス、リゴレット、エフゲニー・オネーギンなどを歌っている。ヴォツェックは当たり役の一つで、2007/2008シーズンにユルゲン・フリム演出のプロダクションでミラノ・スカラ座デビューしている。

クラウディオ・アバド、ダニエル・バレンボイム、セミョン・ビシュコフ、ヴァレリー・ゲルギエフ、マリス・ヤンソンス、フィリップ・ジョルダン、ウラディーミル・ユロフスキ、ズービン・メータ、アンドリス・ネルソンス、キリル・ペトレンコ、サイモン・ラトルら共演した指揮者も多数。

日本の新国立劇場への客演も多く、2009年に《ヴォツェック》のタイトルロールでデビュー。以後、《ニュルンベルクのマイスタージンガー》のハンス・ザックス、《アラベラ》マンドリカ、ワーグナー《さまよえるオランダ人》オランダ人の他、この2月にも《フィレンツェの悲劇》シモーネと出演を重ねていた。

写真:Simon Pauly


関連記事

  1. ドレスデン発 〓 空席だった聖母教会オルガン奏者に27歳のニクラス・ヤーン

  2. ベルリン発 〓 ドイツが過去最大規模の21億ユーロで文化支出を支援

  3. ライプツィヒ発 〓 市立歌劇場が2023/2024シーズンの公演ラインナップを発表

  4. 訃報 〓 スチュアート・バロウズ(92)英国のテノール歌手

  5. デュッセルドルフ発 〓 シューマンの旧居を博物館に

  6. 訃報 〓 フジコ・ヘミング(92)スウェーデン・日本のピアニスト

  7. デュイスブルク発 〓 デュイスブルク・フィルの音楽監督にスイスのシュテファン・ブルニエ

  8. ハイデルベルク発 〓 ピアニストのイゴール・レヴィットが「ハイデルベルクの春」音楽祭の共同芸術監督に就任

  9. ドレスデン発 〓 ドレスデン音楽祭も開催断念を発表

  10. ハンブルク発 〓 ドイツ・グラモフォンがアバドの生誕90年を記念して、残された録音をすべて収録した限定ボックス・セットをリリース

  11. 訃報 〓 レナータ・スコット(89)イタリアのソプラノ歌手

  12. 訃報 〓 シルヴィア・ゲスティ(84)ハンガリーのソプラノ

  13. ヴィースバーデン発 〓 パトリック・ランゲが任期残してヘッセン州立劇場の音楽総監督を退任、芸術総監督との方向性合わず

  14. 訃報 〓 ジェームズ・ロッホラン(92)英国の指揮者

  15. デュッセルドルフ発 〓 ライン・ドイツ・オペラが新しい歌劇場の建設計画を白紙撤回

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。