チェコ出身の指揮者ズデニェク・マカール(Zdeněk Mácal)が25日、プラハの病院で亡くなった。87歳だった。1968年の民主化運動「プラハの春」で西側に亡命後、米国を拠点に国際的な活躍を続け、2003年から2007年にかけてチェコ・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者も務めた。在任中、日本のテレビ・ドラマ「のだめカンタービレ」に高名な指揮者役で出演した。
1936年、ブルノの生まれ。ブルノ音楽院とヤナーチェク舞台芸術アカデミーで学び、1965年のブザンソン国際指揮者コンクールで優勝。1966年には米国のミトロプーロス国際指揮者コンクールで3位となり、当時のチェコスロヴァキア期待の若手指揮者として注目され、1967年にプラハ交響楽団の指揮者に就任、「プラハの春」音楽祭にもデビューした。
しかし、翌年1968年に民主化運動「プラハの春」が当時のソ連の軍事介入で潰されると、オランダに移住して亡命。1970年から1974年にかけてケルン放送交響楽団の音楽監督を務めた。また、1980年から1983年にかけてハノーファーの北ドイツ放送フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者を務め、その後、米国籍を獲得した。
1986年にはオーストラリアのシドニー交響楽団の首席指揮者に就任するが、オーケストラのメンバーや経営陣と衝突、5回のコンサートを指揮しただけで退任している。以後、ミルウォーキー交響楽団(1986–1995)の音楽監督、ニュージャージー交響楽団の音楽監督(1993–2002)を務めるかたわら国際的な活躍を続け、160を超えるオーケストラを指揮している。
母国チェコでは1996年と1997年に「プラハの春」音楽祭でチェコ・フィルハーモニー管弦楽団を指揮。2003年にはウラディミール・アシュケナージの後任として、その音楽監督に就任した。2007年までの在任中、2006年に放送された日本のテレビ・ドラマ「のだめカンタービレ」では、玉木宏演じた指揮者の千秋真一が師として敬愛する巨匠指揮者という設定のセバスチャーノ・ヴィエラの役を演じていた。
また、音楽監督に就任したことで、「プラハの春」で亡命する前に国営レーベル「スプラフォン」への録音の復刻がようやく始まったという。チェコ・フィルと1968年に録音し(ソリストはパヴェル・シュチェパーン)、1971年にウィーン放送賞を受賞したモーツァルトのピアノ協奏曲第23番、27番の録音などがリリースされた。
写真:ČTK
訃報 〓 ズデニェク・マカール(87)チェコ出身の指揮者
2023/10/28
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