ロサンゼルス発 〓 大規模火災でシェーンベルクの出版社が焼失

2025/01/13

ロサンゼルスの大規模火災で、パシフィック・パリセーズにあり作曲家アルノルト・シェーンベルク(1874ー1951)の作品の保存と普及に専念してきた出版社「ベルモント・ミュージック」が焼失したことが解った。一部の原稿やオリジナル・スコア、販売およびレンタル用の資料の全在庫が失われたという。

「ベルモント・ミュージック」は作曲家の息子であるラリー・シェーンバーグが高校の数学教師のかたわら経営を行っていた出版社で、1970年代から、作曲家の先見性のある遺産と現代の演奏家、学者、音楽愛好家との重要な架け橋を務めてきた。

シェーンベルクは20世紀初頭に最も影響力を持った作曲家の一人で、従来の調性を新しい秩序に置き換えることをめざした「12音技法」を開発。ハーモニーや形式に対する従来の手法に挑戦し、それによって現代音楽の流れを生み出した。

しかし、ナチス・ドイツの台頭で1934年に米国に移住。ロサンゼルスを拠点に作曲活動を続け、南カリフォルニア大学(USC)とカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)で後進の指導に当たるなどして1951年に亡くなっている。

シェーンバーグは「販売およびレンタル用の資料の全在庫を失いましたが、私たちはシェーンベルクの音楽を世界に広めるという使命を継続していく決意です」と声明を出しており、「私たちは、シェーンベルクの音楽が将来の世代にもアクセス可能であることを保証する、新しいデジタル形式でカタログを再構築したいと考えています。このウェブサイトを通じて進捗状況をお知らせしていく」と語っている。

写真:USA TODAY


関連記事

  1. 東京発 〓 新日本フィルが新シーズン、2023/2024シーズンの定期演奏会ラインナップを発表

  2. アントワープ発 〓 香港出身のエリム・チャンがアントワープ響の音楽監督に

  3. ミュンヘン発 〓 パトリック・ハーンがミュンヘン放送管の首席客演指揮者に

  4. ロッテルダム発 〓 音楽メッセ「クラシカル・ネクスト」が中止を発表

  5. パリ発 〓 国立オペラの新シーズン開幕は11月末に

  6. ミラノ発 〓 スカラ座が2024/2025シーズンの公演ラインナップを発表

  7. ロイトリンゲン発 〓 ヴュルテンベルク・フィルの首席指揮者にアリアーヌ・マティアク

  8. サンテス・クレウス発 〓 ジョルディ・サヴァールが新しい音楽祭起ち上げ

  9. ミラノ発 〓 クリスティアン・ティーレマンがスカラ座の新しい《ニーベルングの指環》4部作の指揮から降板

  10. 訃報 〓 伊藤京子(94)日本のソプラノ歌手

  11. サンフランシスコ発 〓 サンフランシスコ・バレエ団の芸術監督にタマラ・ロホ

  12. ストックホルム発 〓 ソプラノのバーバラ・ハンニガンが2025年の「ポーラー音楽賞」を受賞

  13. ウィーン発 〓 国立歌劇場が2月第4週のストリーミング配信のラインナップを発表

  14. 訃報 〓 カミラ・ウィックス(92)米国のヴァイオリン奏者

  15. エバンストン発 〓 2021年の「ゲオルグ・ショルティ指揮者アワード」はジェンマ・ニューに

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。