フランスの作曲家ラヴェルの名曲《ボレロ》の著作権をめぐる訴訟で、パリ近郊ナンテールの地方裁判所が6月29日、著作権保護期間の延長を求める承継者らの訴えを退ける判決を言い渡した。2015年の著作権失効直前、ラヴェルと画家のアレクサンドル・ブノワ(1960年没)の権利承継者らがボレロの共同著作権を主張して著作権者協会に延長を請求、協会がこれを拒否したことから訴訟になっていた。
《ボレロ》は1928年に作曲、初演された作品。1937年に亡くなったラヴェルの著作権は第二次世界大戦を考慮した延長を経て、没後78年で失効。フランスでは1921年以降の作品は2016年5月1日から、それ以前の作品も2022年9月29日から著作権フリーになっている。
しかし、《ボレロ》は15分に一度、世界のどこかで演奏され、見積もられる著作権使用料は年間2億円超。今回の訴訟は、権利承継者らがそれを狙い、著作権の復活と延長を図るために起こしたもので、認められた場合、ブノワの没後から著作権保護期間が改めて70年認められ、2039年まで延長されることになるという。
現地の報道によると、承継者らは、《ボレロ》は元々はバレエ作品で、振付をブロニスラヴァ・ニジンスカ(1972年没)、舞台装置と衣装をブノワが担当、共同制作されたものと主張していた。しかし、判決はブノワ本人が一度も共同制作について言及していないこと、二人の振付や舞台によるバレエ公演は初演から現在まで一度も再演されていないこと、などから承継者側の要求を退けている。
写真:BBC
ナンテール発 〓 名曲《ボレロ》の著作権をめぐる訴訟で、保護期間の延長を求める承継者らの訴えを裁判所が棄却
2024/07/03
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