訃報 〓 ベルナルト・ハイティンク(92)オランダの指揮者

2021/10/22
【最終更新日】2023/02/06

指揮者界の最長老だったオランダの名指揮者、ベルナルト・ハイティンクが10月21日にロンドンの自宅で亡くなった。92歳だった。母国の名門アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団(現在のロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団)の首席指揮者を27年務める一方、世界の名門オーケストラとの共演を重ね、数多くの名録音を残し、戦後を代表する指揮者の一人だった。

アムステルダム生まれで、ヴァイオリニストとして音楽家のキャリアをスタート。その後、名指揮者フェルディナント・ライトナーに師事して指揮者に転身した。1957年にオランダ放送フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者に就任。1961年には弱冠32歳の若さで名門アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団の常任指揮者に就任して話題を集め、その後、首席指揮者となった。

その後、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者(1967-1979)、ロンドンのロイヤル・オペラ・ハウス(1987-2002)の音楽監督などを歴任。また、シカゴ交響楽団やドレスデン・シュターツカペレにもポストを持ち、一方でウィーン・フィルハーモニー管弦楽団やベルリン・フィルハーモニー管弦楽団をいった名門オーケストラへの客演を重ねた。

端正で構築的な音楽作りを根底に置きながら、温かく包容力のあるしなやかな音楽を紡ぎ出すことで知られ、ベートーベンやブラームス、ブルックナー、マーラー、ショスタコーヴィチまで500タイトル近い録音を残している。2019年9月、スイス・ルツェルン音楽祭でウィーン・フィルハーモニー管弦楽団を指揮した公演を最後に引退していた。

1962年にコンセルトヘボウ管弦楽団と初来日。以来、2015年のロンドン交響楽団との来日まで、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団、ロイヤル・オペラ、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、ドレスデン・シュターツカペレ、シカゴ交響楽団などと来日を重ね、日本にも多くのファンを持つ。

写真:Berliner Philharmoniker


関連記事

  1. ロンドン発 〓 英国のロイヤル・オペラが2021/2022シーズンの公演ラインナップを発表

  2. ラヴェッロ発 〓 バルトリが「モナコ公の音楽家たち」とのツアーをスタート

  3. ワルシャワ発 〓 アントニ・ヴィトの80歳の誕生日コンサートに気候活動家が乱入

  4. ブタペスト発 〓 第3回「バルトーク国際コンクール」で、日本のクァルテット・インテグラが優勝

  5. 東京発 〓 「全国共同制作オペラ」が2024年度にプッチーニ《ラ・ボエーム》を新制作、指揮は井上

  6. フランクフルト発 〓 市立歌劇場が2024/2025シーズンの公演ラインナップを発、新制作が11も

  7. チューリッヒ発 〓 ゲザ・アンダ国際ピアノコンクールはロシアのイリヤ・シュムクレールが優勝

  8. 訃報 〓 テレサ・ツィリス=ガラ(91)ポーランド出身のソプラノ歌手

  9. ロンドン発 〓 イングリッシュ・ナショナル・オペラが新シーズン、2022/2023シーズンの公演ラインナップを発表

  10. ニューヨーク発 〓 モーストリー・モーツァルト・フェスティバルも開催中止

  11. ロンドン発 〓 グラインドボーン音楽祭も開催断念、ストリーミング配信をスタート

  12. 訃報 〓 フランツ・マズラ(95)オーストリアのバス・バリトン歌手

  13. 東京発 〓 ワシントン・ナショナル響が日本公演を中止

  14. ミュンヘン発 〓 ザクセン州立オペラに続いてバイエルン州立オペラも公演をキャンセル、新型コロナの感染者急増で

  15. ミュンヘン発 〓 ソプラノ歌手のアニヤ・ハルテロスが2024年の活動休止を発表、家族の看病に専念

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。