バイロイト発 〓 バイロイト音楽祭がカタリーナ・ワーグナーとの契約を2030年まで延長、新設のジェネラル・マネージャーのとの権限分離で“芸術監督職”に専念

2024/05/14

ドイツ・バイロイト音楽祭が総監督を務めてきたカタリーナ・ワーグナーとの契約を延長した。2030年まで延長される。ただ、同時に2025年から、ジェネラル・マネージャーのポストを新設して、組織と財務管理の権限と責任を持たせ、ワーグナーは“芸術監督職”に専念することも発表された。

発表によると、今回の決定は、音楽祭の株主であるドイツ連邦共和国、バイエルン州、バイロイト市、バイロイト友の会の四者の合意に基づくもの。バイロイト友の会は2025年以降、持ち株比率を29%から15%に引き下げることを決定しているが、その分の株式を連邦政府とバイエルン州が引き受け、出資比率をそれぞれ36%に引き上げることも決まった。

カタリーナは現在、45歳。戦後の音楽祭を引っ張ってきたヴォルフガング・ワーグナーの2人目の妻の娘で、作曲家リヒャルト・ワーグナーのひ孫に当たる。2008年から異母姉妹であるエヴァ・ワーグナー=パスキエと一緒に音楽祭の運営を引き継いだが、2015年からは単独で音楽祭の総監督を務めてきた。

ただ、自らが演出家であることもあり、演出重視の「レジー・テアター」を標榜。そこに招聘される気鋭の演出家の尖った演出が一部のファンの離反を招き、世界的な争奪戦が繰り広がられてきたチケットの売れ行きにも影響が出ていた。昨年は全31公演の収容率が97%と、以前は考えられなかった売り切れにならない公演も出ている。

2024年の音楽祭はヴァレンティン・シュヴァルツ演出の《ニーベルングの指環》の上演が3年目に入り、新制作は《トリスタンとイゾルデ》。演出を手掛けるのはトルレイフール・オーン・アルナルソンで、指揮はセミヨン・ビシュコフ。これにパブロ・エラス=カサド指揮の《パルジファル》、ナタリー・シュトゥッツマン指揮の《タンホイザー》、オクサーナ・リーニフ指揮の《さまよえるオランダ人》が再演される。

写真:StMWK / Axel König


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