訃報 〓 イゴール・オジム(92)スロヴェニア出身のヴァイオリニスト

2024/03/25

スロヴェニア出身のヴァイオリニスト、イゴール・オジム(Igor Ozim)が3月23日、オーストリアのザルツブルクで亡くなった。92歳だった。演奏家としての活動のかたわら、指導者として知られ、その門下から多くの才能を送り出している。また、国際的なコンクールの審査員を務めた。

首都リュブリャナの生まれで、両親がピアノ、兄がヴァイオリンを演奏する音楽一家で育ち、5歳からリュブリャナの音楽アカデミーで学び、1949年からブリティッシュ・カウンシルの奨学金を得てイギリスに留学、王立音楽大学でアルバート・サモンズの指導を受けた。その後、名ヴァイオリニストのマックス・ロスタルに2年間師事した。

その後、1951年の「カール・フレッシュ国際ヴァイオリン・コンクール」で優勝、その直後にロンドンもウィグモア・ホールでデビュー・リサイタルを行っている。その後、1953年には、「ミュンヘン国際音楽コンクール=Internationaler Musikwettbewerb der ARD」で優勝。ソリストとして国際的な活躍をスタートさせた。

モーツァルトのピアノ三重奏曲やシューベルトの室内楽曲などの録音がある他、同郷のスラヴコ・オステルチ、ルシヤン・マリヤ・シュケルヤンチ、イヴォ・ペトリッチ、ヤネス・マティチッチ、ウロシュ・クレクのヴァイオリン協奏曲も多い。

その後、指導者としての活動も展開。ケルン音楽大学、ベルン芸術大学の教授を経て、ザルツブルクに拠点を移し、モーツァルテウム音楽院の教授を長く続けた。教え子にはパトリツィア・コパチンスカヤ、リチャード・トネッティら多数。モーツァルトのヴァイオリン協奏曲などのエディションも制作している。

写真:Patricia Kopatchinskaja


関連記事

  1. ロンドン発 〓 「グラモフォン賞」に新設された「オーケストラ・オブ・ザ・イヤー」にシアトル交響楽団

  2. ロンドン発 〓 英国政府が定例の新年叙勲者を発表、アントニオ・パッパーノらが叙勲

  3. バルセロナ発 〓 スペイン放送協会がサグラダ・ファミリア大聖堂でウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の特別コンサート

  4. ベルン発 〓 スイスの劇場閉鎖、2月末まで延長の方向

  5. クリーブランド発 〓 ウェルザー=メストが癌治療で10月下旬から年末までのすべての仕事をキャンセル

  6. ニューヨーク発 〓 新制作《魔笛》指揮のナタリー・シュトゥッツマンがメトロポリタン歌劇場管に謝罪、自身の発言めぐって

  7. アムステルダム発 〓 オランダ国立オペラの次期首席指揮者にロレンツォ・ヴィオッティ

  8. ベルリン発 〓 ドイツのオペラ雑誌「Oper Magazin」が年間賞を発表

  9. パリ発 〓 オペラ=コミックの次期芸術監督に指揮者のルイ・ラングレー

  10. ニューヨーク発 〓 ポリーニが心臓病の療養で全米ツアーを中止、藤田真央が代役でカーネギー・ホールにデビュー

  11. ミラノ発 〓 ミラノ市長がスカラ座にゲルギエフの解任を要求、ロシアのウクライナ進攻で

  12. タンペレ発 〓 マシュー・ホールズがフィンランドのタンペレ・フィルの首席指揮者に

  13. フィラデルフィア発 〓 指揮者のネゼ=セガンがバイデン大統領、ハリス副大統領に公開書簡

  14. ボストン発 〓 ボストン響が東アジア・ツアーを中止

  15. ベルリン発 〓 ウクライナのオデッサ・フィルがベルリン音楽祭に出演

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。