戦後を代表するホルン奏者の一人、ドイツのヘルマン・バウマン(Hermann Baumann)が12月29日に亡くなった。オーケストラ奏者としてキャリアをスタートさせたが、1967年からはソロ活動に専念して世界を舞台に活躍。その滑らかで超人的なテクニックと柔らかな音色で多くの人を魅了した。
1934年、ハンブルク近郊の生まれ。父親が医者という家庭に育ち、幼い頃からピアノやチェロ、合唱指揮を学び、20歳の頃にふと手にしたホルンに興味を持ち、ハンブルク音楽大学に進んでフリッツ・フートに師事、2年で卒業した。
卒業と同時にドルトムント市立劇場管弦楽団に入団。1961年からはシュトゥットガルト放送交響楽団の首席奏者を務めた。在職中の1964年、ミュンヘン国際音楽コンクール(Internationaler Musikwettbewerb der ARD)で優勝した。
1967年にソロ活動をスタートさせてからはレパートリーの広さ、テクニックの完璧さで知られ、モダン・ホルンと同時にナチュラル・ホルンの名手としても知られた。
録音にも数多く参加、1973年にニコラウス・アーノンクールとナチュラル・ホルンによるモーツァルトのホルン協奏曲集、サイモン・ラトルとのモーツァルト、リヒャルト・シュトラウスのアルバムといった名録音を残している。1983年にはリゲティのホルン、ヴァイオリンとピアノのためのトリオを世界初演した。
1993年に脳溢血で倒れて演奏活動を一時休止したが、体調は回復。また、演奏活動の合間を縫い、30年の長きにわたり、エッセンのフォルクヴァング芸術大学で後進の指導にも当たっていた。
写真:Philips Classics
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