ミラノ発 〓 スカラ座が新シーズンのラインアップを発表

2018/06/01
【最終更新日】2018/10/02

ミラノのスカラ座(Teatro alla Scala)が2018/2019シーズンのラインアップを発表した。スカラ座は、宮廷劇場以来の伝統を持つ、「イタリア・オペラの殿堂」。プレミエは(新演出上演は)9演目。スカラ座のシーズンは毎年12月7日、ミラノの守護聖人・聖アンブロージョの日に開幕するのが伝統(欧米の他のオペラハウス、オーケストラは9月開幕が多い)。大きな歌劇場は上演する演目を毎日変える「レパートリー・システム」を採用しているが、スカラ座は映画のように同じ演目を集中的に上演する「スタジオーネ・システム」を採用している。

劇場の源流は、ハプスブルク王朝の(当時はミラノを含む北イタリアがオーストリア領だった)宮廷劇場「テアトロ・ドゥカーレ=Teatro Ducale」に遡る。その建物が1776年2月25日に火事で失われ、マリア・テレジアによって現在の地に移転、再建された。そこにかつて「サンタ・マリア・アラ・スカラ教会」があったことから、それが劇場名に。新劇場の落成は78年8月3日で、こけら落としにアントニオ・サリエリ作曲の新作歌劇《見出されたエウローパ》が上演された。その後、ヴェルディやプッチーニというイタリアの作曲家の著名なオペラの初演の舞台となり、輝かしい伝統が築かれていく。

第二次世界大戦中の空襲で建物が大きく破壊されたが、翌日から市民も参加して修復が始まり、ヨーロッパでの戦いが終わってからわずか1年後の1946年5月11日、イタリアが生んだ巨匠アルトゥーロ・トスカニーニの指揮で演奏会が行われた。現在の建物は、老朽化が進んだ先代の建物を改修したもの。2002年から劇場を閉鎖して改築に近い工事が行われ、再開場を祝うこけら落としの公演が2004年12月7日、ムーティの指揮で再度《見出されたエウローパ》を上演して行われた。客席数は3600。

ヴェルディ《アッティラ》
12月7日, 2018 – 1月8日, 2019
指揮:リッカルド・シャイー
演出:ダヴィデ・リヴァモア
出演:イルダル・アブドラザコフ / サイオア・エルナンデス / ファビオ・サルトーリ / シモーネ・ピアッツォーラ / 他

ヴェルディ《椿姫》
1月11日 – 17日 / 3月17日, 2019
指揮:チョン・ミョンフン
演出:リリアナ・カヴァーニ
マリナ・レベカ / フランチェスコ・メーリ / レオ・ヌッチ / ソーニャ・ヨンチェヴァ / プラシド・ドミンゴ / ベンジャミン・ ベルンハイム / 他

ロッシーニ《チェネレントラ》
2月10日 – 4月5日, 2019
指揮:オッターヴィオ・ダントーネ
演出:ジャン=ピエール・ポネル
マリアンヌ・クレバッサ / マキシム・ミロノフ / カルロス・ショソン / ニコラ・アライモ / アーウィン・シュロット / 他

ムソルグスキー《ホヴァーンシチナ》
2月27日 – 3月29日, 2019
指揮:ワレリー・ゲルギエフ
演出:マリオ・マルトーネ
エカテリーナ・セメンチュク / ミハイル・ペトレンコ / アレクセイ・マルコフ / セルゲイ・スコロホドフ / 他

プッチーニ《マノン・レスコー》
3月31日 – 4月27日, 2019
指揮:リッカルド・シャイー
演出:デービッド パウントニー
出演:マリア・ホセ・シーリ / マルセロ・アルバレス / マッシモ・カヴァレッティ / 他

リヒャルト・シュトラウス《ナクソス島のアリアドネ》
4月23日 – 6月22日, 2019
指揮:フランツ・ウェルザー=メスト
演出:フレデリック・ウェイク=ウォーカー
出演:クラッシミラ・ストヤノヴァ / タマラ・ウィルソン / サビーヌ・ドゥヴィエル / ブレンダ・ラエ / ミヒャエル・ケーニヒ / 他

モーツァルト《イドメネオ》
5月16日 – 6月5日, 2019
指揮:クリストフ・フォン・ドホナーニ
演出:マティウス・ハルトマン
出演:ゲルハルト・リヒター / ミシェル・ロジエ / フェデリカ・ロンバルディ / ユリア・クライター / 他

コルンゴルト《死の都》
5月28日 – 6月17日, 2019
指揮:アラン・ギルバート
演出:グレアム・ヴィック
出演:クラウス・フロリアン・フォークト / マルクス・ヴェルバ / アスミク・グリゴリアン / 他

ヴェルディ《群盗》
6月18日 – 7月7日, 2019
指揮:ミケーレ・マリオッティ
演出:デイヴィッド・マクヴィカー
出演:ファビオ・サルトーリ /  ミケーレ・ペルトゥージ / マッシモ・カヴァレッティ / 他

サリエリ《はじめに音楽、次に言葉》
プッチーニ《ジャンニ・スキッキ》
7月6日 – 19日, 2019
指揮:アダム・フィッシャー
演出:ニコラ・ラーブ=はじめに音楽、次に言葉 / ウディ・アレン=ジャンニ・スキッキ
出演:アンブロージョ・マエストリ / 他

ヴェルディ《リゴレット》
9月2日 – 22日, 2019
指揮:ネッロ・サンティ
演出:ジルベール・ デフロ
出演:レオ・ヌッチ / 他

ドニゼッティ《愛の妙薬》
9月10日 – 10月10日, 2019
指揮:ミケーレ・ガンバ
演出:グリシャ・アサガロフ
出演:ローザ・フェオーラ / ヴィットリオ・グリゴーロ  / アンブロージョ・マエストリ / マッシモ・カヴァレッティ / 他

フランチェスコーニ《クァルテット》
10月5日 – 22日, 2019
指揮:マキシム・パスカル
演出:アレックス・オリエ(ラ・フラ・デルス・バウス)
出演:アリソン・クック /  ロビン・アダムス / 他

ヘンデル《ジュリアス・シーザー》
10月18日 – 11月7日, 2019
指揮:ジョヴァンニ・アントニーニ
演出:ロバート・カーセン
出演:チェチーリア・バルトリ / フィリップ・ジャルスキー / クリストフ・デュモー / ベジュン・メータ / 他

リヒャルト・シュトラウス《エジプトのヘレナ》
11月9日 – 29日, 2019
指揮:フランツ・ウェルザー=メスト
演出:スヴェン=エリック・ ベヒトルフ
出演:リカルダ・メルベート / アンドレアス・シャーガー / エヴァ・メイ / トーマス・ハンプソン / 他

写真:Teatro alla Scala

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