フィンランドの作曲家カイヤ・サーリアホ(Kaija Saariaho)が6月2日、パリの自宅でなくなった。家族がフェイスブックで発表した。70歳だった。2021年に悪性の脳腫瘍「膠芽腫」と診断されていた。
1952年、ヘルシンキの生まれ。シベリウス音楽院でパーヴォ・ハイニネンに師事した後、ドイツのフライブルク音楽大学、パリのフランス国立音響音楽研究所(IRCAM)で研鑽を積んだ。1980年代、コンピュータを使ったカラフルな音色や濃密な響きを駆使、変容を強調した作品で国際的な注目を集めた。
1990年代入ると、表情の豊かさ、リズミックな要素も強調されるように作風も幅が広がり、1994年のヴァイオリン協奏曲《グラール・シアター》(1994)、1996年のソプラノとオーケストラのための《魂の城》、ソプラノとエレクトロニクスのための《彼方の》といった作品が登場した。
小品からオペラまで数多くの作品を手がけ、2000年にザルツブルク音楽祭が初のオペラ《遥かなる愛》を初演。これがグロマイヤー賞をはじめとする数々の賞を受賞する成功を収め、フィンランドを代表する作曲家としての名声を確立した。全曲録音は2011年の米国の「グラミー賞」最優秀オペラ録音賞に輝いている。
2021年には、フランスのエクス=アン=プロヴァンス音楽祭が《イノセンス》を初演、これも絶賛された。また、東京でも能を題材としたオペラ《オンリー・ザ・サウンド・リメインズ 余韻》が上演されている。ポーラー音楽賞など受賞多数。2015年度の武満徹作曲賞の審査員を務めている。
写真: Maarit Kytöharju
訃報 〓 カイヤ・サーリアホ(70)フィンランドの作曲家
2023/06/04
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