訃報 〓 ペーター・シュミードル(84)元ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団首席クラリネット奏者

2025/02/05

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の元首席クラリネット奏者のペーター・シュミードル(Peter Schmidl)が1日に急逝した。84歳だった。ウィーン・フィルでの演奏に加え、さまざまな室内楽アンサンブルに参加、またその門下から数多くの演奏家を世に送り出した。

ドイツ・ベーメン=メーレン保護領オルミュッツ(現在のチェコ・オロモウツ)生まれ。祖父のアロイス、父親のヴィクトルがウィーン・フィルの首席クラリネット奏者という家庭で育ち、ウィーン音楽演劇大学でルドルフ・イェッテルに師事、その後、アルフレート・ボスコフスキーにも師事した。また、ウィーンのマックス・ラインハルト・セミナーで演技と演出を学んでいる。

1965年にウィーン・フィルの母体であるウィーン国立歌劇場管弦楽団に第2クラリネット奏者として入団。3年後、第1クラリネット奏者となり、ウィーン・フィルにも入団、1982年から定年で退団する2010年まで首席奏者を務めた。また、故ヘルベルト・フォン・カラヤンにゲストとしてたびたび招かれ、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団にも数多く客演した。

同時に室内楽の分野においても活躍。「新ウィーン八重奏団」、「ウィーン木管ゾリステン」のメンバーとして世界各国で演奏。ドイツ・グラモフォン、デッカ、テラークなどのレーベルへの録音も多い。

一方で、1967年から母校で長く教鞭を取り、教え子たちが世界各国のオーケストラで活躍している。日本でも1991年から教授を務めた(後に芸術監督)毎年夏に札幌で開催されるパシフィック・ミュージック・フェスティバル(PMF)の他、草津夏期国際音楽アカデミーなどでマスター・クラスを行ってきた。

1984年にザルツブルク功労金勲章、1991年にオーストリア芸術名誉十字勲章など受章多数。

写真:ALSOJ ONLINE


関連記事

  1. バート・イシュル発 〓 レハール音楽祭は作曲者の生誕150年祝えず

  2. ウィーン発 〓 オーストリアもロックダウン

  3. ザルツブルグ発 〓 モーツァルト週間が2025年の公演ラインナップを発表

  4. ベルリン発 〓 クラリネットのアンドレアス・オッテンザマーがベルリン・フィルを退団、指揮活動に集中するため

  5. ウィーン発 〓 2023年の「ニューイヤー・コンサート」のプログラム発表、なんと15曲中14曲が初出、少女合唱団の初共演も話題

  6. ウィーン発 〓 コンツェルトハウスがクルレンツィス&ムジカエテルナのコンサートをキャンセル、ウクライナ大使の要請受け

  7. ウィーン発 〓 シェーンブルン宮殿のサマー・ナイト・コンサートを9月に延期、ウィーン・フィル

  8. 訃報 〓 ミゲル・アンヘル・ゴメス・マルティネス(74)スペインの指揮者

  9. 訃報 〓 ペーター・スヴェンソン(57)ドイツのテノール歌手

  10. 訃報 〓 シグリード・ケール(95)Sigrid Kehl

  11. ウィーン発 〓 中止された公演の報酬めぐり、ザルツブルグ音楽祭に対して集団訴訟か。芸術監督の辞任も要求

  12. 訃報 〓 クルト・アツェスベルガー(60)オーストリアのテノール歌手

  13. 訃報 〓 アルフレッド・ブレンデル(94)オーストリアのピアニスト

  14. ウィーン発 〓 アンナ・ネトレプコが米国に復帰、パームビーチ・オペラに出演

  15. ウィーン発 〓 2020年の「ニューイヤー・コンサート」のプログラム発表

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。