映画音楽界のレジェンド、米国の作曲家ジョン・ウィリアムズ(John Williams)が19日、スティーブン・スピルバーグ監督と行ったトーク・イベントで作曲活動からの引退を撤回した。
この日のトーク・イベントは、ウィリアムズが音楽を手掛けた『フェイブルマンズ』と『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』の公開に合わせ、全米脚本家組合劇場で行われたもの。前者は映画監督になる夢を叶えたスピルバーグ自身の原体験を描いた作品で、自らメガホンを執っている。
主人公は映画館を初めて訪れた時から映画に夢中になったスピルバーグを重ね合わせた少年サミー。コンピューター技師の父親、かつてピアニストをめざした母親との関係、さまざまな人々との出会いによって成長していく姿が描かれる。
サミー役にガブリエル・ラベル、母親役にミシェル・ウィリアムズ、父親役にポール・ダノが起用されている。一方、後者はハリソン・フォード主演の「インディ・ジョーンズ」シリーズの最新作にしてフォードにとっては最後の作品で、監督はジェームズ・マンゴールド。
現地の報道をまとめると、ウィリアムズは司会者から「この二作が最後の作品になるという報道がありますが…」と訊かれて「しばらくはここにいるつもりだ」と引退説を否定。その理由として、スピルバーグとの長年のパートナーシップを挙げた。二人のタッグは、1974年の映画『シュガーランド・エクスプレス』に遡る。
ウィリアムズはまた、2020年に103歳で亡くなったスピルバーグの父親が、100歳を過ぎても息子のホロコースト追悼プロジェクト「ショア財団」で働き続けていたことを指摘。「スティーブンは監督であり、プロデューサーであり、スタジオの責任者であり、作家でもある。慈善家でもある。教育者でもある。(私にとって)ノーと言える男ではないんだ」と付け加えた。
これを受けてスピルバーグが「ウィリアムズに仕事をさせるため、次に何を監督するか考えなければならない」と会場を沸かせると、ウィリアムズも呼応。「スティーブンの求めに応じて再び作曲をする。そう、これが彼が私に期待していることなんだ」と発言、大きな拍手が起きたという。
映画業界では、スピルバーグの次作はスティーブ・マックイーン主演の『ブリット』で描かれたフランク・ブリットの物語を、ブラッドリー・クーパー主演で制作するとみられている。
写真:Alex J. Berliner / Abimages
ロサンゼルス発 〓 映画音楽の巨匠ジョン・ウィリアムズ、作曲活動からの引退を撤回
2023/01/20
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