訃報 〓 ネッド・ローレム(99)米国の作曲家

2022/11/19
【最終更新日】2023/02/05

米国で最も多作な作曲家の一人で、ピューリッツァー賞を受賞したネッド・ローレム(Ned Rorem)が11月18日、ニューヨーク・マンハッタンの自宅で亡くなった。99歳だった。姪のメアリー・マーシャルが死亡を確認したが、死因は明らかにされていない。

自ら最高傑作に挙げた1998年の歌曲集《見えないものの証拠》をはじめとする500曲以上の歌曲、3つの交響曲や多くの室内楽を作曲。代表作に1947年の声楽と管弦楽四重奏のための《サミュエル書よりのかなしみの場面》、1965年のオペラ《令嬢ジェリー》があり、管弦楽組曲《エア・ミュージック》で1976年にピューリッツァー賞を受賞した。

インディアナ州のリッチモンド生まれ。シカゴで父親は医療経済学者、母が反戦活動家という家庭に育ち、ノースウェスタン大学を経て、カーティス音楽院でメノッティに、ジュリアード音楽院でトムソンに師事。タングルウッド音楽センターではコープランドにも師事している。

1949年にパリに渡り、その後、モロッコに滞在(1951-1957)。帰国後はバッファロー大学を経て、ユタ大学で客員教授を務めた。門下にはダロン・ヘイゲンやデヴィッド・ホーンらがいる。

作曲家活動の一方、1966年に自らの同性愛について赤裸々に語った『パリ日記』を出版、物議を醸したことでも知られる。日記はその後も12冊以上出版され、刺激的な文化批評、ゲイ社会や芸術家のサークルの機敏を描いて大きな反響を呼んだ。

また、1967年の『ミュージック・フロム・インサイド・アウト』」、1983年の『セッティング・ザ・トーン』、1996年の『アザー・エンターテイメント』など、評論集も数多く出版しており、数多くの著作を通じて、同時代の作曲家に対する辛口の批評でも知られた。2000年から2003年まで米国芸術文学アカデミーの会長も務めた。

写真:Open Road Media




関連記事

  1. 東京発 〓 東京都交響楽団が音楽監督の大野和士との契約を延長

  2. ミラノ発 〓 スカラ座博物館で巨匠演出家フランコ・ゼッフィレッリの回顧展がスタート

  3. ルートヴィヒスハーフェン発 〓 ラインラント=プファルツ州立フィルが次期首席指揮者にマイケル・フランシス

  4. 京都発 〓 京都市響の第14代常任指揮者に沖澤のどか

  5. ジュネーブ発 〓 ジュネーブ国際コンクールのフルート部門はエストニア出身のエリザヴェータ・イヴァノヴァが優勝

  6. ベルリン発 〓 ベルリン・ドイツ・オペラが2022/2023シーズンの公演ラインナップを発表

  7. ベルリン発 〓 ベルリン・フィルが「ヨーロッパ・コンサート」の開催地を変更、ウクライナのオデーサからラトビアのリエパーヤへ

  8. ミュンヘン発 〓 ミュンヘン・フィルがウクライナに連帯するチャリティー・コンサート開催へ、指揮はラハフ・シャニ

  9. ライプツィヒ発 〓 ライプツィヒ市立歌劇場が2021/2022シーズンの公演ラインナップを発表

  10. サンタフェ発 〓 テノールのローランド・ビリャソンが《オルフェオ》の初日を降板、リハーサルで背中痛め

  11. ルツェルン発 〓 延期されていたアンドラーシュ・シフのコンサートの中止決定、新型コロナウイルスの感染拡大止まず

  12. デトロイト発 〓 演出家のユヴァル・シャロンがミシガン・オペラ・シアターの芸術監督に

  13. 訃報 〓 ヤン・クレンツ(96)ポーランドの指揮者・作曲家

  14. ニューヨーク発 〓 テノールのステファン・グールドが健康上の理由で引退を表明

  15. ベルリン発 〓 ドイツの演出家クラウス・グートがロシアの「ゴールデン・マスク賞」の受賞を拒否

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。