ロシアのウクライナ侵略をめぐり、動向が注目されていたロシアの指揮者ワレリー・ゲルギエフ(Valery Gergiev)が8日、本拠地サンクト・ペテルブルクのマリインスキー劇場の指揮台に復帰した。2月24日に侵略戦争が始まって以来、指揮台に上がるのはこの日が初めて。
ロシアのプーチン大統領と緊密な関係にあるゲルギエフは、侵略戦争が始まった2月24日から、国外のオーケストラ、音楽祭などから、政権と距離を置くことを明確にするよう求められたが、それに応えず、ミュンヘン・フィルの首席指揮者から解任された他、解任、降板に追い込まれ、国外での活動の場をほぼ失った。
復帰第1弾のコンサートは、ソリストにピアノのデニス・マツーエフを迎えたコンサート。マツーエフも、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の米国ツアーのソリストに起用されながら、プーチン大統領に近いことからゲルギエフと一緒に降板を余儀なくされている。
また、9日には、コンサート形式によるポンキエッリのオペラ《ラ・ジョコンダ》を指揮。ウクライナ侵略については、なお沈黙を守っているが、その身の処し方に対して、ロシアのメディアからは「彼は祖国が危険にさらされている時に市民として当然のことを行った」と英雄視されている。
11日からはマリインスキー劇場のモスクワ公演で首都へ。ワーグナー《ニーベルングの指環》連作4部作を、ザリヤディエ・コンサートホールを使ってセミ・ステージ形式で上演する。11日の後、23日、24日、4月17日というスケジュールで、ステージ・デザインはロシア系アメリカ人のジョルジュ・ツィピンが手掛けている。
一連の公演には、エフゲニー・ニキティン(ヴォータン・グンター)、ユーリ・ヴォロビエフ(ヴォータン)、ロマン・ブルデンコ(アルベリヒ)、ミハイル・ヴェクア(ジークムント、ジークフリート、ローゲ)、エレナ・スティッキナ(ジークリンデ、ブリュンヒルデ)、タチアーナ・パヴロフスカヤ(ブリュンヒルデ)、ミハイル・ペトレンコ(ハーゲン、フンディング、ファフナー)といった歌手たちが出演する。
写真:Mariinsky Theater
サンクト・ペテルブルク発 〓 ゲルギエフが本拠地マリインスキー劇場に復帰、続いてモスクワで《ニーベルングの指環》
2022/03/12
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