訃報 〓 イヴァン・モズゴヴェンコ(97)ロシアのクラリネット奏者

2022/01/11
【最終更新日】2023/02/06

ロシアのクラリネット奏者イヴァン・モズゴヴェンコ(Ivan Mozgovenko)が2021年12月31日に亡くなった。97歳だった。「人民芸術家」の称号を贈られた名演奏家で、母校のグネーシン音楽大学で後進を指導、数多くの人材を音楽界に送り出したことで知られる。

1924年、カスピ海の北西にあるカルムイク共和国ヤシャタ村の生まれ。1931年に家族全員でウラル山脈の東側にあるニジニ・タギルに強制的に移住させられたが、1939年からスヴェルドロフスク音楽大学でクラリネットを学んだ。しかし、第2次世界大戦の勃発で従軍。1943年からウラル義勇軍戦車隊に加わり、医療大隊に所属してベルリン攻防戦に参加した。

1946年、モスクワのグネーシン音楽大学に入学して再びクラリネットを学び、卒業した1951年にベルリンでの行われた国際コンクールで優勝。1953年から1968年にかけてソ連映画撮影委員会の交響楽団のソリストを務めた。そのかたわら、ボロディン弦楽四重奏団をはじめとする室内アンサンブルと録音を重ねた。

演奏家として活動する一方、1951年から母校のグネーシン音楽大学で後進の指導に当たり、1980年から教授。1995年に「人民芸術家」、2019年にはモズゴヴェンコ・クラリネット・コンクールも創設され、2020年にはロシア連邦大統領の功績章が贈られている。

写真:Mozgovenko Clarinet Competition


関連記事

  1. ブッパータール発 〓 オーストリアの若手指揮者パトリック・ハーンがブッパータール市との契約を延長

  2. 東京発 〓 紀尾井ホール室内管が首席指揮者のトレヴァー・ピノックとの契約を延長

  3. ロンドン発 〓 マリン・オールソップがフィルハーモニア管の首席客演指揮者に

  4. サンテス・クレウス発 〓 ジョルディ・サヴァールが新しい音楽祭起ち上げ

  5. ベルリン発 〓 ベルリン・フィルに初の中国人メンバー、ヴィオラの首席奏者に梅第揚

  6. ラスベガス発 〓 第64回「グラミー賞」発表

  7. デュッセルドルフ発 〓 インターナショナル・クラシック・ミュージック・アワード2025発表

  8. ジュネーブ発 〓 第76回「ジュネーブ国際音楽コンクール」のピアノ部門でカナダのケビン・チェンが優勝、日本の五十嵐薫子が3位に

  9. モンハイム=アム=ライン発 〓 オクサーナ・リーニフがウクライナのキーウ響の首席客演指揮者に

  10. 訃報 〓 グウェンドリン・キルブリュー(80)アメリカのメゾ・ソプラノ歌手

  11. ナッシュヴィル発 〓 ナッシュヴィル響が来シーズンをキャンセル

  12. モントリオール発 〓 テノールのジョセフ・カイザーが来年まで出演をキャンセル

  13. ハノイ発 〓 ベトナムを代表するオペラ歌手、義兄に刺殺される

  14. ニューヨーク発 〓 メトロポリタン歌劇場は新型コロナウイルスのワクチン接種義務付け

  15. ハンブルク発 〓 ガーディナーが新アンサンブル起ち上げ、同じ会場で古巣より1週間早くコンサートを開催、しかも、同じプログラムで

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。