ベオグラード発 〓 準・メルクルの投稿、思わぬ波紋

2020/01/15

指揮者の準・メルクル(Jun Märkl)のフェイスブックへの投稿が波紋を広げている。問題となっている投稿は、16日、17日に初めて客演する予定だったベオグラード・フィルハーモニー(Belgrade Philharmonic Orchestra)に対する批判。今回はロッシーニの《ウイリアム・テル》序曲、コルンゴルドのヴァイオリン協奏曲、メンデルスゾーンの交響曲第4番《イタリア》を指揮する予定だったが、メルクルは直前にキャンセルしている。

メルクルは投稿の中で、オーケストラ側が契約事項を守らないので客演をキャンセルしたと報告。その理由として、オーケストラ側には何度も提案をしたが、それに対して何一つ肯定的な返答がなかったと説明、ベオグラード・フィルとは今後仕事をする気がないことを明らかにした。さらに、オーケストラ側が自分を騙そうとしていると感じたと吐露。他の指揮者に対して、このオーケストラは信用ならない、一緒に仕事をしないように、と投稿に書き込んだ。

これにベオグラード・フィルが猛反発、欧米の音楽メディアに声明を出す事態に。反論では、キャンセルに至った原因は指揮者が契約書の一部について履行を拒否したことにあると指摘。オーケストラはセルビア共和国の法律に従うのは当たり前で、そのことはエージェントにも事前に説明、契約書にも明記されていると主張した。さらに、リハーサル開始まで60時間を切った時点でのキャンセルはプロにあるまじき行為で、ベオグラードの聴衆、楽団員、マネージメントに対する侮辱であるとした。また、他の音楽家に一緒に仕事をしないようにと呼びかけたメルクルの行為を強く批判、契約不履行で訴える可能性も示唆している。

しかも、騒動はそれで収まらず、そこにベオグラード・フィルの首席指揮者を務めるドイツ人指揮者のガブリエル・フェルツ(Gabriel Feltz)も参戦。実際の原因が何かについては知らされていないと前置きしながらも、オーケストラとの10年来の付き合いを踏まえ、メルクルの主張するようなことがあったとは思えない、自分の周りには再び共演したいという客演者ばかり、とオーケストラを擁護する声明を出した。怒りにまかせて書いたメルクルの投稿が思わぬ騒動に発展している。

写真:Slovenska filharmonia / Jan Lukas

関連記事

  1. バーミンガム発 〓 ジュリアン・ロイド・ウェッバーが王立バーミンガム音楽院の学長を退任

  2. ウィーン発 〓 2021年の「ニューイヤー・コンサート」の指揮者はムーティ

  3. カーディフ発 〓 BBCウェールズ・ナショナル管の次期首席指揮者にライアン・バンクロフト

  4. ウィーン発 〓 来年1月の《ナブッコ》で、ドミンゴが国立歌劇場にお別れ

  5. ボストン発 〓 ボストン響が東アジア・ツアーを中止

  6. チューリッヒ発 〓 チューリッヒ歌劇場が2020/2021シーズンの公演ラインナップを発表

  7. 訃報 〓 ディミトリー・スミルノフ, 旧ソ連出身の作曲家

  8. フィレンツェ発 〓 フィレンツェ5月音楽祭も中止

  9. 訃報 〓 ジョナサン・ミラー, 英国の演出家

  10. テルアビブ発 〓 イスラエル・フィルの弦楽セクションが若返り

  11. ウィーン発 〓 カウフマンが「黄金の市庁舎の男」を受章

  12. ヴェルビエ発 〓 音楽祭が緊急救援基金起ち上げ、コロナ禍で苦境のフリー・アーティストに支援金

  13. 札幌発 〓 指揮者のマティアス・バーメルトが札響との契約を延長

  14. 東京発 〓 第3弾のラインナップを発表、新国立劇場の「巣ごもりシアター」

  15. コペンハーゲン発 〓 ルイージがデンマーク放送響との契約延長

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。