訃報 〓 アンソニー・ペイン, 英国の作曲家

2021/05/16

英国の作曲家アンソニー・ペイン(Anthony Payne)が4月30日に亡くなった。84歳だった。妻で歌手だったジェーン・マニングを1ヵ月前に亡くしたばかり。ヴォーン・ウィリアムズ、ディーリアス、エルガーといった20世紀初頭の作曲家の流れを汲み、現代的な音楽との融合を模索。遺された草稿を元にエルガーの交響曲第3番を「ペイン推敲版」として完成させたことでも知られる。

ロンドン生まれ。幼い頃から作曲に関心を示し、ロンドン南東部のダリッジ大学、ダラム大学で学んだ。しかし、1961年に卒業した後、しばらく神経衰弱に苦しんで作曲を断念する。1965年から作曲に復帰、1966年にはソプラノ歌手のジェーン・マニングと結婚。1972年に完成させた《フェニックス・ミサ》で新進作曲家として注目を集めた。

その後、複数の有力な楽団から新作の委嘱を受けるようになり、多くの作品がロンドンの夏の音楽祭「プロムス」で初演されるようになる。1988年、マニングとアンサンブル「ジェーンズ・ミンストレルズ」を設立。以後、アンサンブルに対して《風と雨の交響曲》といった作品を提供している。

その頃から1934年に死去したエルガーが書き残したスケッチを元に第3交響曲の補筆作業をスタート。1993年からは遺族の承認も得て、1998年の初演にこぎ着けた。エルガーについてはその後も、未完に終わった行進曲《威風堂々》第6番も完成させ、2006年の「プロムス」で初演された。

その後も創作活動は衰えず、2010年に完成させた弦楽四重奏曲第2番は2011年の英国作曲家賞の室内楽部門を授賞。また、作曲家としての活動の一方、文筆活動でも知られ、シェーンベルクやブリッジに関する著作の他、「デイリー・テレグラフ」や「インデペンデント」などの日刊紙での音楽批評でも知られている。

写真:composers edition


    もっと詳しく ▷


関連記事

  1. マドリード発 〓 テアトロ・レアルの新シーズンはヴェルディ《仮面舞踏会》で開幕

  2. ロンドン発 〓 英国が興業チケットの付加価値税を20%から5%に引き下げ

  3. ブリュッセル発 〓 モネ劇場が新しい公演スケジュールを発表

  4. ボストン発 〓 ボストン響がレイオフに続き、平均37%の報酬カット

  5. ベルゲン発 〓 エドワード・ガードナーがベルゲン・フィルとの契約を延長

  6. パリ発 〓 テノールのアラーニャが「レジオンドヌール勲章」を受章

  7. 東京発 〓 新国立劇場が4月10日からストリーミング配信を開始

  8. ブダペスト発 〓 ハンガリー国立オペラが新制作の《ドン・カルロ》をストリーミング配信

  9. マドリッド発 〓 RTVE交響楽団の次期首席指揮者・音楽監督にクリストフ・ケーニヒ

  10. ウィーン発 〓 シェーンブルン宮殿のサマー・ナイト・コンサートを9月に延期、ウィーン・フィル

  11. ローマ発 〓 劇場の閉鎖など、イタリア全土で4月3日まで継続

  12. パリ発 〓 劇場の占拠、フランス全土へ拡大

  13. パリ発 〓 パリ国立オペラが2021/2022シーズンの公演ラインナップを発表

  14. ピアチェンツァ発 〓 市立劇場が5月16日の再開場を発表、ドミンゴ、ムーティの出演続く

  15. ミュンヘン発 〓 バイエルン州立オペラがオリジナル・レーベル起ち上げ

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。