ベルギーのバリトン歌手、ミシェル・トランポン(Michel Trempont)が1月30日に老衰で亡くなった。92歳だった。味のある演技派の歌手として活躍、フランス物を中心に現代物まで幅広いレパートリーを誇った。日本でも2000年、新国立劇場のマスネ《ドンキ・ショット》でサンチョ・パンサを歌っている。
1928年、エノー生まれ。州都モンスの音楽院で学んで、「ファウスト」のバレンティンとしてリエージュ歌劇場でオペラ・デビューした。1956年にはモネ劇場に出演、1960年まで専属歌手として活動した。1966年にはパリのオペラ・コミック座にデビュー、国際的な活動の足がかりを掴んだ。
その後、パリ、ミラノ、ニューヨークと著名な歌劇場に出演を重ね、150の役を歌っている。《セビリアの理髪師》や《フィガロの結婚》のフィガロ、《コジ・ファン・トゥッテ》のグリエルモ、《ラ・ボエーム》のマルチェロ、《オリー伯爵》のランボーなどで高い評価を受けた。
写真:Opéra national de Paris
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