訃報 〓 ヴィルジニア・ゼアーニ(95)ルーマニア出身のソプラノ歌手

2020/10/26
【最終更新日】2023/02/06

ルーマニア生まれのソプラノ歌手ヴィルジニア・ゼアーニ(Virginia Zeani)が亡くなった。95歳だった。世界的な歌劇場で活躍を続け、女優のエリザベス・テイラー、エヴァ・ガードナー、ジーナ・ロロブリジーダといった時代を代表する銀幕スターたちと並ぶ美貌でも知られた。

ルーマニアのトランシルヴァニア地方ソロバストルの生まれで、本名はヴィルジニア・ゼハン。13歳でブカレストに移り、ルチア・アンヘルに声楽を師事、リディア・リプコフスカの薫陶も受けた。1944年にイタリアに移り、ミラノで伝説のテノール、アウレリアーノ・ペルタイルに学んだ。

プロ・デビューは1948年で、ボローニャ歌劇場で《椿姫》のヴィオレッタ役を歌っている。幅広いレパートリーで知られ、生涯にコロラトゥーラの役柄を中心に69の役柄を歌ったが、中でもヴィオレッタは当たり役で、世界各地の歌劇場で通算648回歌ったという。

1952年にはフィレンツェでマリア・カラスの代役で《清教徒》エルヴィーラ役を歌ってセンセーショナルな成功を収めた。1956年、ミラノ・スカラ座にデビュー。この時はヘンデル《ジュリアス・シーザー》のクレオパトラ役を歌った。翌年、この時に共演したバス歌手ニコラ・ロッシ=レメーニ(Nicola Rossi-Lemeni)と結婚した。

1980年に歌手活動から引退、米国ブルーミントンにあるインディアナ大学に招かれたことから夫妻で米国に移住して後身の指導に当たり、門下生には、シルヴィア・マクネアー、ニコール・シュヴァリエ、ヴィヴィカ・ジュノーらがいる。1982年にサンフランシスコ・オペラの《カルメル派修道女の対話》に副修道院長マザー・マリー役で出演、これが最後のオペラ出演となった。

写真:Opera Nationala Bucuresti





関連記事

  1. ロンドン発 〓 ロイヤル・オペラが5月17日、新制作の《皇帝ティートの慈悲》で再開場へ

  2. バルセロナ発 〓 バルセロナ下院がターミナル駅「サンツ駅」を「モンセラート・カバリエ駅」に改称する議案を可決

  3. 訃報 〓 アレクサンドル・ブズロフ(38)ロシアのチェロ奏者

  4. ウィーン発 〓 作曲家ジョン・ウィリアムズがついにウィーン・フィルを指揮

  5. フィレンツェ発 〓 フィレンツェ歌劇場でもオーケストラがストライキに突入、《椿姫》の最終公演はメータがピアノを指揮

  6. ニューヨーク発 〓 メトロポリタン歌劇場が“Nightly Met Opera Streams”の第8週のラインナップを発表

  7. ケープタウン発 〓 若手歌手のための「オペラリア」、2023年は南アフリカのケープタウンで開催

  8. パリ発 〓 フランスの夏の音楽祭も相次いで中止を発表

  9. ロンドン発 〓 デイヴィッド・コーエンがロンドン響の首席チェロ奏者に

  10. ハンブルク発 〓 ドホナーニにハンブルク市から「ブラームス・メダル」

  11. 青島発 〓 メニューイン音楽学校が青島に中国校

  12. パリ発 〓 ガルニエ宮、バスティーユ歌劇場相次いで改修へ

  13. 台北発 〓 インバルが台北市立響と契約更改、2025年まで任期を延長

  14. モスクワ発 〓 2021年の「オペラリア」はボリショイ劇場で開催

  15. 訃報 〓 ジェシー・ノーマン(74)米国のソプラノ歌手

  1. ゼア―ニの訃報は誤報なのではないか?
    他にゼアーニの訃報のニュースが見当たらないのだが。

  1. この記事へのトラックバックはありません。