訃報 〓 ディミトリー・スミルノフ(71)旧ソ連出身の作曲家

2020/04/12
【最終更新日】2023/02/16

旧ソ連出身の作曲家ディミトリー・スミルノフ(Dmitri Smirnov)が9日、新型コロナウイルスによる急性呼吸器疾患のため入院したロンドンの病院で亡くなった。71歳だった。1991年にイギリスに亡命していた。

旧ソ連ベラルーシ共和国の首都ミンスクで、オペラ歌手の家庭に生まれる。1972年にモスクワ音楽院を卒業。音楽院ではニコライ・シデルニコフやユーリ・ホロポフ、エディソン・デニソフらに師事した。

1976年、オランダのマーストリヒト国際コンクールで《ハープのための独奏曲》が1等賞を獲得して注目を集める。しかし、1979年には、ソ連作曲家同盟第6回会議の席上で、書記長を務める作曲界の権威ティホン・フレンニコフ(1913-2007)から、ケルンとヴェネツィアで開かれたソヴェト音楽祭に承認を得ずに参加した7人のうちの一人として指弾された。

しかし、その後も旺盛な活動が続き、1989年には、《ティリエル》と《ゼルの嘆き》というオペラがドイツのフライブルク音楽祭で上演され、交響曲第1番《四季》が米国のタングルウッド音楽祭で初演された。1990年にモスクワで旗揚げされた「現代音楽協会」の発起人の一人。

亡命後も新作を次々に発表。1993年に《自由の歌》がリーズで、、1996年に《チェロ協奏曲》がマンチェスターで、2001年にカンタータ《雅歌》がジュネーヴで初演された。2004年にはヴァイオリン、ハープ、コントラバスと管弦楽のための《三重協奏曲》第2番がロンドンのバービカンセンターでロンドン交響楽団により初演されている。

写真:Tatiana Kantorovitch


関連記事

  1. アムステルダム発 〓 オランダ放送フィルが首席指揮者のカリーナ・カネラキスとの契約を延長

  2. ワルシャワ発 〓 オペラ賞「オペラ・アワード2023」の年間賞が決定

  3. ニューヨーク発 〓 メトロポリタン歌劇場がラインナップ発表、“Nightly Met Opera Streams”の第13週、第14週

  4. 浜松発 〓 国際ピアノ・コンクール中止の浜松で、初の国際ピアノ・フェスティバルを開催

  5. ミラノ発 〓 ゲルギエフがイタリア国内の資産売却を進めていると、イタリアの有力紙が報道

  6. ボゴタ発 〓 ボゴタ・フィルハーモニー管弦楽団の音楽監督にスウェーデンのヨアキム・グスタフソン

  7. ロンドン発 〓 メゾ・ソプラノのサラ・コノリーに国王音楽勲章

  8. パリ発 〓 グスターボ・ドゥダメルがパリ国立オペラの音楽監督に

  9. ミュンヘン発 〓 ミュンヘン市長もゲルギエフに“最後通牒”、ロシアのウクライナ進攻めぐり

  10. 訃報 〓 レオン・フライシャー(92)米国のピアニスト

  11. カールスルーエ発 〓 バーデン州立劇場が音楽総監督のゲオルク・フリッチュとの契約を延長

  12. ホノルル発 〓 ハワイ・オペラ・シアターが2020/2021シーズンの断念を発表

  13. デモイン発 〓 大ベテラン、サイモン・エステスがオペラからの引退を発表

  14. トーレ・デル・ラーゴ発 〓 プッチーニ・フェスティバル開催決定

  15. サンクト・ペテルブルク発 〓 ネトレプコ、「白夜の星音楽祭」に出演

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。