昨年12月5日からストライキに突入しているパリ国立オペラ(Opéra national de Paris)で、年明け第1弾の《セビリアの理髪師》の上演が中止された。カルロ・モンタナーロの指揮、リセッテ・オロペサ、フロリアン・センペイらが出演する予定だった。14日の公演も流れる公算が大。ステファン・リスナー(Stephane Lissner)総裁は年末、ストが12月いっぱい続いた場合、その損害が1200万ユーロ(約14億5000万円)を超えるという報告を政府に出している。
今回のストライキは、マクロン政権による年金制度改正に労働組合が反発したもの。改正案は年金財政の安定化をめざし、職種ごとに設けられている42の年金制度の一元化をめざしており、実現すると、年金の支給開始年齢が64歳に統一される。そのため、受給開始年齢などで優遇されている国鉄、地下鉄やバスを運行するパリ交通公団、電力公社を中心にしながら、黄色いベスト運動の参加者まで加わる全国的なものに拡大。クリスマス時期の休戦も実現しなかった。
パリ国立オペラでも、技術スタッフや裏方だけでなく、バレエ団のダンサーが参加しているのが特徴。バレエ団が誇る350年の長い歴史の中でも、ダンサーがストに参加するのは極めて珍しいという。ダンサーたちの年金制度は“太陽王”ルイ14世の時代に導入されたもので、42歳で定年になると、その後は月およそ1000ユーロの年金を受けとる仕組み。一元化されると、年金の受給が20年遅れることになるという。
写真:ludovic Marin / AFP
パリ発 〓 長引くスト、国立オペラの《セビリアの理髪師》も上演中止
2020/01/13
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