ウィーン発 〓 ニューイヤー・コンサートの「ラデツキー行進曲」のアレンジを一新

2019/12/15

ヨハン・シュトラウス1世作曲の「ラデツキー行進曲」といえば、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団が元旦に行っている「ニューイヤー・コンサート」の最後に演奏され、聴衆が演奏に合わせて手拍子で応えることで知られているが、ウィーン・フィルが来年2020年から新しいバージョンで演奏すると発表した。

これまで演奏されていたのは、シュトラウス1世のオリジナル版ではなく、オーストリア出身の作曲家レオポルト・ヴェーニンガー(Leopold Weninger)が編曲したバージョン。小規模なオーケストラ用に書かれたオリジナル版を、大編成のオーケストラ向けにアレンジしており、1946年にヨーゼフ・クリップスが初めて使ったという。それが使われなくなるのは、ヴェーニンガーがナチス党員で、党歌「ホルスト・ヴェッセルの歌」や「突撃隊行進曲」のアレンジなども多数手掛けている人物だったことが改めてクローズアップされたため。

ウィーン・フィルの説明によれば、ティンパニ、トライアングル、グロッケンなどのパート全体が削除されるなど、楽員たちによってかなりの手が加えられており、これまでもヴェーニンガーのアレンジ通りに演奏されているわけではないという。新しい楽譜については、これまでの変更を取り込んだ新版の作成を楽譜文書館に依頼しているが、実際にはこれまでのものとそれほどの違いはないとか。

写真:Vienna Philharmonic Orchestra / Dieter Nagl

関連記事

  1. ザルツブルク発 〓 ローランド・ビリャソン、芸術監督務める音楽祭「モーツァルト週間」との契約を延長

  2. グラーツ発 〓 オクサーナ・リーニフが劇場との契約を延長せず

  3. ウィーン発 〓 来シーズンのウィーン・フィルの定期演奏会にミルガ・グラジニーテ=ティーラ、女性指揮者の定期起用はオーケストラ初

  4. ザルツブルク発 〓 ザルツブルク音楽祭が芸術監督のマルクス・ヒンターホイザーとの契約を延長

  5. ウィーン発 〓 国立歌劇場が2020/2021シーズンの公演ラインナップを発表

  6. インスブルック発 〓 インスブルック古楽音楽祭が2022年の公演ラインナップを発表

  7. ウィーン発 〓 芸術週間がクルレンツィス率いる南西ドイツ放送響招聘を見送り、リーニフらウクライナからの抗議受け

  8. ザルツブルク発 〓 復活祭音楽祭の開催を断念、新型コロナウイルスの感染拡大で

  9. ウィーン発 〓 フィリップ・ジョルダン、国立歌劇場の音楽監督退任へ

  10. 訃報 〓 エフゲニー・ネステレンコ(83)ロシアのバス歌手

  11. ロンドン発 〓 ヴィットリオ・グリゴーロ降板の裏にセクハラ

  12. ウィーン発 〓 アン・デア・ウィーン劇場が2021/2022シーズンの公演ラインナップを発表

  13. ウィーン発 〓 2020年の「ニューイヤー・コンサート」のプログラム発表

  14. プラハ発 〓 チェコ・フィルハーモニー管弦楽団のコンサート・マスターに26歳の女性

  15. グラーツ発 〓 グラーツ歌劇場が2018/2019シーズンのラインナップを発表

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。