訃報 〓 ヨハネス・シャーフ(86)ドイツの演出家

2019/11/06
【最終更新日】2023/02/16

ドイツの演出家ヨハネス・シャーフ(Johannes Schaaf)が1日、86歳で亡くなった。1960年代から演劇、映画の世界で活躍した後、1980年代からオペラの演出を手掛け、ザルツブルク音楽祭やウィーン国立歌劇場をはじめとするヨーロッパの著名な歌劇場や音楽祭で数多くのプロダクションを手掛け、一時代を築いた。現在も上演が続いているプロダクションも多い。

1933年、シュトゥットガルト生まれ。警察官僚の家庭に育ち、テュービンゲンとベルリンで医学を学んだが、卒業後は演劇の世界に進み、1950年代にシュトゥットガルトの劇場で俳優のかたわら演出家のアシスタントとして研鑽を積んだ。1958年にウルムの劇場に移り、演出家として初舞台を手掛け、1962年からはブレーメンの劇場に移った。

1964年からは映画の世界に転身。1966年の「Große Liebe=グレイト・ラブ」、1967年の「Tätowierung=タトゥー」、1971年の「Trotta」、1973年の「Traumstadt=ドリーム・シティ」といった作品を手掛け、新しいドイツ映画のリーダーの一人となった。「Trotta」は連邦映画賞を受賞した他、カンヌ映画祭のパルムドールにもノミネートされた。

その後、1986年の「MOMO」を最後にオペラ界に転身。1985年年のザルツブルク音楽祭の《カプリッチョ》の演出で話題をさらい、音楽祭では《後宮からの逃走》や《魔笛》の演出を手掛けた。同時にウィーン国立歌劇場やバイエルン州立歌劇場などにも次々に進出。とりわけモーツァルトの作品の解釈で高い評価を集めた。2009年のザクセン州立歌劇場(ゼンパー・オパー)の《トスカ》が最後の大きな仕事になった。

写真:Mariinsky Theater

関連記事

  1. ベルリン発 〓 ベルリン放送響の首席客演指揮者にカリーナ・カネラキス

  2. ハノーファー発 〓 州立劇場が音楽総監督のステファン・ジリアスとの契約を延長

  3. 訃報 〓 ゲオルク・クリストフ・ビラー(66)ライプツィヒ聖トーマス教会第16代カントル

  4. バイロイト発 〓 リヒャルト・ワーグナー記念館が《さまよえるオランダ人》の直筆楽譜を初公開

  5. ミュンヘン発 〓 サイモン・ラトル率いるバイエルン放送響が11月に日本ツアー

  6. ハノーファー発 〓 州立劇場の次期音楽総監督にステファン・ジリアス

  7. ハンブルグ発 〓 ハンブルグ市がメルケル首相をテーマにしたオペラを制作

  8. ライプツィヒ発 〓 ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団が5月の「マーラー・フェスティバル」を2023年に延期

  9. ベルリン発 〓 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団が2021/2022シーズンの公演ラインナップを発表

  10. サクラメント発 〓 ホログラムで再現されたマリア・カラスがオーケストラと共演

  11. バイロイト音楽祭 〓 来年の音楽祭の概要を発表

  12. ミュンヘン発 〓 テノール歌手のダニエル・プロハスカにバイエルン州から「宮廷歌手」の称号

  13. ミュンヘン発 〓 青木尚佳がミュンヘン・フィルのコンサートマスターに

  14. ダルムシュタット発 〓 州立劇場が音楽総監督のダニエル・コーエンとの契約を延長

  15. リューベック発 〓 シュレスヴィヒ=ホルシュタイン音楽祭が2024年の「レナード・バーンスタイン賞」をチェロのアナスタシア・コベキナに

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。