アムステルダム発 〓 指揮者のエド・デ・ワールトが引退を発表

2024/04/10

オランダの指揮者エド・デ・ワールト(Edo de Waart)が引退を発表した。デ・ワールトは現在、82歳。オランダ放送フィルハーモニー管弦楽団の名誉指揮者だが、直近2回のコンサートをキャンセルしている。

デ・ワールトはアムステルダムのスウェーリンク音楽院でオーボエとピアノを学び、アムステルダムのコンセルトヘボウ管弦楽団に次席オーボエ奏者として入団した。1964年、米国の「ディミトリー・ミトロプーロス指揮コンクール」で優勝。副賞として、ニューヨーク・フィルハーモニー管弦楽団でレナード・バーンスタインの助手を1年間経験する。

帰国後、ベルナルト・ハイティンクの下、コンセルトヘボウ管の指揮者助手に任命され、1967年にはオランダ管楽合奏団とロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団の指揮者に任命され、1973年から1985年までロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団の音楽監督を務めた。コンセルトヘボウ管弦楽団率いる若きハイティンクに続く、オランダ指揮者界のホープとして期待を集め、名門レーベル「フィリップス」を中心に多数の録音を残している。

その後、サンフランシスコ交響楽団(1977ー1985)、ミネソタ管弦楽団(1986ー1995)の音楽監督、オランダ放送フィルハーモニー管弦楽団(1989ー2004)の首席指揮者、シドニー交響楽団の首席指揮者兼芸術顧問(1995ー2004)を歴任、屈指のオーケストラ・ビルダーとしてその名が知られた。

1999年からはオランダ国立オペラの首席指揮者も務めたが、早々に2004年に退任。音楽の仕上がりに妥協を許さず、演出家の専横にも物言う気難しい指揮者ながらその後も引っ張りだこ。香港フィルハーモニー管弦楽団音楽監督(2004ー2012)、ミルウォーキー交響楽団の音楽監督(2009ー2017)、ロイヤル・フランダース・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者(2011ー2016)、ニュージーランド交響楽団の音楽監督(2016ー2019)を務め、2015年からはサンディエゴ交響楽団の第一指揮者を務めていた。

写真:Jesse Willems


関連記事

  1. ミュンヘン発 〓 バイエルン州立オペラがゲルギエフに加え、ネトレプコの今後の出演をキャンセル

  2. マドリード発 〓 テアトロ・レアルの次期音楽監督にグスターボ・ヒメノ

  3. 訃報 〓 リン・ハレル(76)米国のチェロ奏者

  4. ルートヴィヒスハーフェン発 〓 ラインラント=プファルツ州立フィルが首席指揮者のマイケル・フランシスとの契約を延長

  5. エッセン発 〓 ドイツの老舗音楽月刊誌「フォノ・フォルム」廃刊へ

  6. 静岡発 〓 プロ・オーケストラ「富士山静岡交響楽団」が発足、静岡交響楽団と浜松フィルの合併で

  7. ベルリン発 〓 コーミッシェ・オーパーが2020/2021シーズンの公演ラインナップを発表

  8. ベルリン発 〓 コーミッシェ・オーパーが2019/2020シーズンの公演ラインナップを発表

  9. ボルチモア発 〓 ボルチモア響の次期音楽監督にジョナソン・ヘイワード

  10. ストックホルム発 〓 ソプラノ歌手のコルネリア・ベスコフに2022年の「ビルギット・ニルソン奨学金」

  11. ジュネーブ発 〓 ジョナサン・ノットが2025/2026シーズンを最後にスイス・ロマンド管の音楽監督・首席指揮者を退任

  12. ロサンゼルス発 〓 第92回「アカデミー賞」の作曲賞に『ジョーカー』のヒドゥル・グドナドッティル

  13. 別府発 〓 第22回のアルゲリッチ音楽祭は来年にそのまま延期

  14. ロンドン発 〓 BBC響が首席指揮者のサカリ・オラモとの契約を延長

  15. 訃報 〓 ニコラ・ジョエル(67)フランスの演出家、パリ国立オペラ元総裁

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。