訃報 〓 ドイツのホルン奏者(89)ヘルマン・バウマン

2024/01/02
【最終更新日】2024/01/03

戦後を代表するホルン奏者の一人、ドイツのヘルマン・バウマン(Hermann Baumann)が12月29日に亡くなった。オーケストラ奏者としてキャリアをスタートさせたが、1967年からはソロ活動に専念して世界を舞台に活躍。その滑らかで超人的なテクニックと柔らかな音色で多くの人を魅了した。

1934年、ハンブルク近郊の生まれ。父親が医者という家庭に育ち、幼い頃からピアノやチェロ、合唱指揮を学び、20歳の頃にふと手にしたホルンに興味を持ち、ハンブルク音楽大学に進んでフリッツ・フートに師事、2年で卒業した。

卒業と同時にドルトムント市立劇場管弦楽団に入団。1961年からはシュトゥットガルト放送交響楽団の首席奏者を務めた。在職中の1964年、ミュンヘン国際音楽コンクール(Internationaler Musikwettbewerb der ARD)で優勝した。

1967年にソロ活動をスタートさせてからはレパートリーの広さ、テクニックの完璧さで知られ、モダン・ホルンと同時にナチュラル・ホルンの名手としても知られた。

録音にも数多く参加、1973年にニコラウス・アーノンクールとナチュラル・ホルンによるモーツァルトのホルン協奏曲集、サイモン・ラトルとのモーツァルト、リヒャルト・シュトラウスのアルバムといった名録音を残している。1983年にはリゲティのホルン、ヴァイオリンとピアノのためのトリオを世界初演した。

1993年に脳溢血で倒れて演奏活動を一時休止したが、体調は回復。また、演奏活動の合間を縫い、30年の長きにわたり、エッセンのフォルクヴァング芸術大学で後進の指導にも当たっていた。

写真:Philips Classics





関連記事

  1. ベルリン発 〓 ベルリン・フィルに初の中国人メンバー、ヴィオラの首席奏者に梅第揚

  2. ハンブルク発 〓 州立歌劇場が新制作の《マノン》をストリーミング配信

  3. ハノーファー発 〓 北ドイツ放送フィルの次期首席指揮者にスタニスラフ・コチャノフスキー

  4. フランクフルト発 〓 市立歌劇場が2024/2025シーズンの公演ラインナップを発、新制作が11も

  5. ヴィースバーデン発 〓 ドイツのヘッセン州政府が4月初めまでの州立劇場閉鎖を発表

  6. 訃報 〓 ゲオルク・クリストフ・ビラー(66)ライプツィヒ聖トーマス教会第16代カントル

  7. ベルリン発 〓 ヴァイオリンのヒラリー・ハーンがベルリン・フィルの米国ツアーから降板

  8. バイロイト・バロック 〓 音楽祭開幕、ポルポラのオペラ《カルロ・ディ・カルヴォ》で

  9. フランクフルト発 〓 第9回「ショルティ国際指揮者コンクール」で、中国系ニュージーランド人の吕天贻が優勝

  10. リヒャルト・シュトラウス音楽祭 〓 アレクサンダー・リープライヒが芸術監督を辞任

  11. マグデブルク発 〓 マグデブルク劇場の次期音楽総監督にアンナ・スクリレーワ

  12. 訃報 〓 カルステン・サブロヴスキ (60)ドイツのバス歌手

  13. ゲーラ発 〓 アンテンブルク・ゲーラ市立劇場の音楽総監督にルーベン・ガザリアン

  14. ライプツィヒ発 〓 市立オペラが新制作の《ローエングリン》でカタリーナ・ワーグナーの新演出を断念、コロナ禍でリセウ劇場との共同制作進まず

  15. ハンブルク発 〓 州立オペラが2025/2026シーズンの公演ラインナップを発表

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。