指揮者の飯守泰次郎(Taijiro Iimori)が15日、急性心不全のため東京都内で亡くなった。82歳だった。ドイツ・バイロイト音楽祭の音楽助手などドイツでも活躍、ワーグナー作品の指揮で高い評価を受けた。2014年から2018年に新国立劇場のオペラ芸術監督を務めた。
旧満州国・新京生まれ。桐朋学園大学音楽科を卒業と同時に、藤原歌劇団の《修道女アンジェリカ》公演を指揮してデビュー。1966年のミトロプーロス国際指揮者コンクール、1969年のカラヤン国際指揮者コンクールに入賞、1970年からはワーグナー作品の上演で知られるバイロイト音楽祭の音楽助手を10年にわたって務め、さまざまな歴史的公演に加わった。
日本では、読売日本交響楽団の指揮者(1972ー1976)、名古屋フィルハーモニー交響楽団(1993ー1998)、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団(1997ー2012)、関西フィルハーモニー管弦楽団(2001ー2011)の常任指揮者を歴任。2018年からは仙台フィルハーモニー管弦楽団常任指揮者を務めていた。
ベートーヴェンやワーグナー、ブルックナーなどドイツ音楽の指揮には多くのファンがおり、ベートヴェンではベーレンライター版による交響曲全曲演奏を東京シティ・フィル、関西フィルで行っている。一方、東京シティ・フィルと《ニーベルングの指環》全4部作など、ワーグナーの楽劇を演奏会形式で上演して演奏史に大きな足跡を残した。
また、ブルックナーも、2011年から2022年にかけて関西フィルと交響曲全曲演奏に取り組んでいる。2001年にサントリー音楽賞、2004年に紫綬褒章、2012年に文化功労者と受賞多数。2014年から日本芸術院会員。
写真:金子力
訃報 〓 飯守泰次郎(82)日本の指揮者
2023/08/17
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