訃報 〓 飯守泰次郎(82)日本の指揮者

2023/08/17

指揮者の飯守泰次郎(Taijiro Iimori)が15日、急性心不全のため東京都内で亡くなった。82歳だった。ドイツ・バイロイト音楽祭の音楽助手などドイツでも活躍、ワーグナー作品の指揮で高い評価を受けた。2014年から2018年に新国立劇場のオペラ芸術監督を務めた。

旧満州国・新京生まれ。桐朋学園大学音楽科を卒業と同時に、藤原歌劇団の《修道女アンジェリカ》公演を指揮してデビュー。1966年のミトロプーロス国際指揮者コンクール、1969年のカラヤン国際指揮者コンクールに入賞、1970年からはワーグナー作品の上演で知られるバイロイト音楽祭の音楽助手を10年にわたって務め、さまざまな歴史的公演に加わった。

日本では、読売日本交響楽団の指揮者(1972ー1976)、名古屋フィルハーモニー交響楽団(1993ー1998)、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団(1997ー2012)、関西フィルハーモニー管弦楽団(2001ー2011)の常任指揮者を歴任。2018年からは仙台フィルハーモニー管弦楽団常任指揮者を務めていた。

ベートーヴェンやワーグナー、ブルックナーなどドイツ音楽の指揮には多くのファンがおり、ベートヴェンではベーレンライター版による交響曲全曲演奏を東京シティ・フィル、関西フィルで行っている。一方、東京シティ・フィルと《ニーベルングの指環》全4部作など、ワーグナーの楽劇を演奏会形式で上演して演奏史に大きな足跡を残した。

また、ブルックナーも、2011年から2022年にかけて関西フィルと交響曲全曲演奏に取り組んでいる。2001年にサントリー音楽賞、2004年に紫綬褒章、2012年に文化功労者と受賞多数。2014年から日本芸術院会員。


写真:金子力


関連記事

  1. 札幌発 〓 札響の次期首席指揮者にエリアス・グランディ

  2. 東京発 〓 第31回「高松宮殿下記念世界文化賞」音楽部門はアンネ=ゾフィー・ムター

  3. 訃報 〓 ルイジ・アルヴァ(98)ペルー出身のテノール歌手

  4. 訃報 〓 アルトゥール・モレイラ・リマ(84)ブラジルのピアニスト

  5. 訃報 〓 ジョン・ネルソン(83)米国の指揮者

  6. 東京発 〓 細川俊夫の《オーケストラのための『渦』》が第68回「尾高賞」に

  7. 大阪発 〓 大フィルがクラウドファンディングで“朝比奈隆秘蔵スコア”のレプリカをリリース

  8. 東京発 〓 新日本フィルが新シーズン、2023/2024シーズンの定期演奏会ラインナップを発表

  9. 東京発 〓 ワシントン・ナショナル響が日本公演を中止

  10. 東京発 〓 ウェルザー=メストの代役はソヒエフ、ウィーン・フィルの日本ツアー

  11. 札幌発 〓 PMF札幌2020が開催を断念

  12. 大津発 〓 沼尻竜典が2023年で「びわ湖ホール」芸術監督を退任、バトンは阪哲朗に

  13. 訃報 〓 アントニオ・メネセス(66)ブラジルのチェロ奏者

  14. 東京発 〓 第34回「高松宮殿下記念世界文化賞」の音楽部門に米国のトランペッター、ウィントン・マルサリス

  15. 東京発 〓 紀尾井ホール室内管弦楽団の次期首席指揮者にトレヴァー・ピノック

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。