訃報 〓 ミヒャエル・ハンペ(87)ドイツの演出家

2022/11/22
【最終更新日】2023/02/05

ドイツを代表する演出家の一人、ミヒャエル・ハンペ(Michael Hampe)が11月18日、スイス・チューリッヒで亡くなった。87歳だsった。著名な歌劇場で数多くのオペラを演出、200作を超える舞台が映像化されている巨匠演出家として知られた。

1935年、ハイデルベルクの生まれ。米国シラキュース大学でチェロを学び、ミュンヘンのオットー・ファッケルベルク学校で演劇を学んだ後、ハイデルベルク大学で演劇・音楽学とドイツ学を専攻した。

その後、ドイツやスイスのさまざまな劇場で経験を積み、1972年にマンハイム州立劇場の芸術監督に就任。1975年にはケルン市立劇場の芸術監督に転じて、1995年まで務めて演出家としての名声を確立した。

ケルン在任中は欧米の著名な劇場、音楽祭でも活躍。中でも、オーストリアのザルツブルク音楽祭とは縁が深く、1983年のリッカルド・ムーティ指揮《コジ・ファン・トゥッテ》、1987年のヘルベルト・フォン・カラヤン指揮《ドン・ジョヴァンニ》、モーツァルトの没後200年を祝った1991年のベルナルト・ハイティンク指揮《フィガロの結婚》の名舞台を残し、1985年から1990年かけて実行委員会のメンバーも務めた。

また、1993年から2000年にかけてドレスデン音楽祭の音楽監督を務め、旧東独エリア最大の音楽祭へと育て上げた。

日本でも1998年に新国立劇場の《魔笛》、滋賀県立芸術劇場「びわ湖ホール」では2012年の《タンホイザー》、2016年の《さまよえるオランダ人》、2017年から2020年にかけて《ニーベルングの指環》全4部作を演出している。

ケルン音楽舞踏大学の教授の他、さまざまな講座を通じて後進の指導にも尽力、ドイツ舞台技術協会の副会長を務めたこともあり、パリ国立オペラのバスティーユ歌劇場や東京の新国立劇場等の設計、劇場の改修工事のアドバイザーなども務めた。

写真:Oper Köln


  もっと詳しく ▷


関連記事

  1. バーデン=バーデン発 〓 ベルリン・フィルがバーデン=バーデン・イースター音楽祭との契約を延長

  2. ロンドン発 〓 英政府が「女王誕生日の叙勲」リストを発表

  3. 東京発 〓 新国立劇場の無料ストリーミング「巣ごもりシアター」が第2弾のラインナップを発表

  4. アムステルダム発 〓 北欧ツアーの代役でディーマ・スロボデニュークがロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団デビュー

  5. オークランド発 〓 「ASBシアター」が「キリ・テ・カナワ劇場」に改名

  6. ライプチヒ発 〓 ライプチヒ歌劇場が2020/2021シーズンの公演ラインナップを発表

  7. 訃報 〓 アレクサンドル・ブズロフ(38)ロシアのチェロ奏者

  8. トロント発 〓 カナディアン・オペラ・カンパニーが2025/2026シーズンの公演ラインナップを発表

  9. グラーツ発 〓 オクサーナ・リーニフが劇場との契約を延長せず

  10. ロサンゼルス発 〓 女性指揮者描いた映画『TAR/ター』が作品賞を含めアカデミー賞6部門にノミネート

  11. トゥールーズ発 〓 キャピトル劇場が新シーズン、2023/2024シーズンの公演ラインナップを発表

  12. ロンドン発 〓 ロイヤル・オペラがアントニオ・パッパーノに史上初の名誉指揮者の称号

  13. パリ発 〓 ハーディングの後任にクラウス・マケラ、パリ管の次期音楽監督

  14. ブレーメン発 〓 ルネ・ヤーコプスにブレーメン音楽賞

  15. ウィーン発 〓 国立歌劇場のボグダン・ロシュチッチ総監督が契約を延長

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。