ニューヨーク発 〓 メトロポリタン歌劇場が大リストラ

2026/01/21

メトロポリタン歌劇場のピーター・ゲルブ(Peter Gelb)総裁が「ニューヨーク・タイムズ」紙のインタビューに対し、昨年夏にサウジアラビアと結んだ提携合意に変更が生じる怖れがあり、リストラを行わざるを得ないことを明らかにした。合意では、5年間で1億ドル(約158億円)以上の資金提供を受け、毎年冬に首都リヤド近郊のディルイーヤ王立歌劇場で3週間にわたり出前公演を行うことになっていた。

それによると、管理職22人を解雇、年収15万ドル以上の幹部35人の給与を4~15%削減するというもので、ゲルブに加え、音楽監督で2024年度に205万ドルの報酬を受けていたヤニック・ネゼ=セガンも減給される。そうした人件費の削減で今年度は1500万ドル、来年度は2500万ドルの支出が減るという。

また、2026/2027シーズンの上演演目についても、サイモン・マクバーニー演出、エサ=ペッカ・サロネンの指揮で予定されたムソルグスキー《ホヴァーンシチナ》の新制作を中止して、予定した18から17に減らすことになった。

加えて、劇場の命名権を販売。また、エントランス両翼に飾られているシャガールの壁画2点の売却も検討しているという。オークション大手のサザビーズが総額5,500万ドルと評価している名作で、1960年代に劇場からの委嘱を受けて制作されたもの。売却に当たっては、壁画を劇場にそのまま残すことを条件にするという。

ゲルブ総裁は昨年9月に2030年まで任期を延長しており、契約更改時にサウジアラビアからの資金導入を発表していた。それにより劇場の財務状況は2032年まで安定すると説明していた。ところが、サウジアラビアの経済事情で、5年にわたる契約に変更が生じる怖れが出てきており、今回のリストラに踏み込んだとしている。

写真:Municipal Art Society of New York / Billie Grace Ward


関連記事

  1. 東京発 〓 新国立劇場が6月、7月の公演中止を発表

  2. ミュルーズ発 〓 ヴァイオリンのクリストフ・コンツがフランス・ミュルーズ響の首席指揮者に

  3. エーテボリ発 〓 エーテボリ交響楽団が首席客演指揮者にバーバラ・ハンニガン

  4. ロサンゼルス発 〓 ルドウィグ・ゴランソンが映画『オッペンハイマー』の音楽で2度目の作曲賞

  5. ベルリン発 〓 ベルリン・ドイツ・オペラが《ヘリアーネの奇跡》の再演を急きょ中止、テノール歌手の体調不良で

  6. ストックホルム発 〓 ピアノのイゴール・レヴィットがノーベル賞の授賞式で演奏

  7. ウィーン発 〓 国立歌劇場で陽性反応、《フィガロの結婚》と《カルメン》上演延期を発表

  8. ニューヨーク発 〓 メトロポリタン歌劇場がネット上でスター歌手40人超えの特別ガラ・コンサート

  9. ロサンゼルス発 〓 メータが古巣のロサンゼルス・フィルを指揮して現場復帰

  10. バレンシア発 〓 ソフィア王妃芸術宮殿の次期音楽監督にジェームズ・ガフィガン

  11. ニューヨーク発 〓 メトロポリタン歌劇場が“Nightly Met Opera Streams”の終了を発表

  12. ウィーン発 〓 ネトレプコが右肩の緊急手術で国立歌劇場への出演をキャンセル。一方で「ポーラー音楽賞」授賞、初めての著作刊行、5年ぶりのソロ・アルバムが登場

  13. 訃報 〓 ロベルタ・アレクサンダー(76)米国のソプラノ歌手

  14. ニューヨーク発 〓 メトロポリタン歌劇場が新シーズンの開幕に先立ち、「9.11同時多発テロ」犠牲者追悼コンサート

  15. ラス・パルマス発 〓 グラン・カナリア・フィルが首席指揮者のカレル・マーク・チチョンとの契約を延長

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。