訃報 〓 ロバート・マン(97)米国のヴァイオリニスト、ジュリアード弦楽四重奏団の創設メンバー

2018/01/01
【最終更新日】2023/02/06

米国ジュリアード音楽院を拠点とする「ジュリアード弦楽四重奏団」の創設メンバーで、第1ヴァイオリン奏者として50年にわたって活躍したロバート・マン(Robert Mann)が1月1日、ニューヨークの自宅で亡くなった。97歳だった。

1920年、オレゴン州ポートランドの生まれ。9歳から音楽を習い始め、19歳の時にジュリアード音楽院に入学してヴァイオリンをエドワード・デサー、作曲をシュテファン・ヴォルペに学んだ。1941年にナウムバーグ国際音楽コンクールで上位入賞を果たし、ニューヨークのタウン・ホールでヴァイオリニストとしてデビューした。

その後、兵役に従事。1946年に退役したところ、音楽院の校長だった作曲家のウィリアム・シューマンの提唱で「ジュリアード弦楽四重奏団」が結成されることになり、そこに第1ヴァイオリン奏者として参加、室内楽に専念することになった。

1997年まで第1ヴァイオリン奏者を務めるかたわら、若手の育成に精力的に取り組み、母校以外でも、世界各地のマスタークラスで数千人にのぼる学生を指導、東京クヮルテット、エマーソン弦楽四重奏団などが彼の元から巣立っている。

日本との縁も深く、61年に桐朋学園のマスター・クラスの指導に訪れた際、学生オーケストラが演奏するシェーンベルクの「浄夜」を聴いて感動。以来、齋藤秀雄と親交を結び、その縁で93年、ジュリアード弦楽四重奏団が「サイトウ・キネン・フェスティバル松本」に招かれている。

マンはそれをきっかけに99年から毎年のようにフェスティバルに客演、10年のフェスティバルでは、「ロバート・マン スペシャル・コンサート~90歳を祝って~」が行われている。

また、15年には引退後の、指揮者、室内楽、作曲、そして教育者としての活動を追ったアラン・ミラー監督によるドキュメンタリー映画も製作されている。

写真:telegraph


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