ミラノ・スカラ座の理事会がサウジアラビアから提供された300万ユーロ(約3億7900万円)超の資金を返還すると決定した。サウジからは5年にわたって毎年300万ユーロを提供するというパートナーシップ協定の締結が提案されており、返還するのは既に送金されていた1回目の資金。アレキサンダー・ペレイラ(Alexander Pereira)支配人が協定の締結を理事会に諮ったが、それが否決された。理事会の会長は、欧米のメディアに対し、「われわれは満場一致で返還を決めた」と述べ、資金はスカラ座が直接受け取っておらず、理事会の決定まで第三者に委託して開設した「エスクロー勘定」で管理されていると説明した。
今回の提案が否決された最大の理由は、イタリア国内の世論の反発。サウジ側が協定の中で文化大臣の理事就任を求めたことに対して、女性に対する制約が厳しく人権に関して問題が指摘されていること、文化大臣がトルコの大使館内で政府に批判的な記者の殺害を指示した可能性が疑われるムハンマド皇太子にも近いことなどから、メディアだけでなく、与野党の議員からもサウジからの資金提供を避けるべきと意見が噴出した。11日にはサルビーニ副首相が申し出を断るよう求める事態に発展していた。
写真:Teatro alla Scala
ミラノ発 〓 スカラ座がサウジアラビアからの資金提供を拒否
2019/03/25
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