ドイツの作曲家ヴォルフガング・リーム(Wolfgang Rihm)が7月27日に亡くなった。72歳だった。多作で知られ、“新ロマン主義”や“新しい単純性”を代表する作曲家で、オラトリオ、管弦楽曲、合奏曲、室内楽曲、音楽劇など、楽器や歌と始めとする生楽器のための音楽を600以上の作品を作曲。音楽活動に加え、ドイツ作曲家協会およびドイツ音楽評議会議長会メンバーなど作曲界のリーダーの一人として活躍した。
カールスルーエ生まれで、11歳で作曲を始め、長じて地元のカールスルーエ音楽大学でオイゲン・ウェルナー・フェルテから作曲と音楽理論を学んだ。1973年からケルン音楽大学のカールハインツ・シュトックハウゼンに、1974年からフライブルク音楽大学のクラウス・フーバーに師事。この年にドナウエシンゲン音楽祭で発表した管弦楽曲《モルフォニー-4部》で一躍その名が知られた。
1984年から音楽雑誌「メロス」誌の共同編集者、ベルリン・ドイツ・オペラ音楽顧問を務め、1985年には師のフェルテの後を受けて母校の作曲教授に就任。クラーニヒシュタイン音楽賞をピアノ・トリオ《見えざる情景》で受賞した後は作曲委嘱が殺到、作曲界での名声を確立した。
1988年に指揮者のクラウディオ・アバドが現代音楽祭「ウィーン・モデルン」を起ち上げると、ノーノやリゲティとテーマ作曲家に選ばれ、1991年にベルリン芸術アカデミーならびにバイエルン芸術アカデミー会員、1996年にはドイツ文学アカデミー会員。1997年にはベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、ルツェルン音楽祭の、2000年にはザルツブルク音楽祭のレジデント作曲家を務めている。
代表作に《13曲の弦楽四重奏曲》、《ルカ受難曲》、《大河交響曲へ向って》の他、《ハムレットマシーン》や《メキシコ征服》などのオペラがある。また、門下からレベッカ・サンダース、イェルク・ヴィドマンら多数の作曲家を輩出している。
1998年にベルリン自由大学名誉博士、2001年に仏芸術文化オフィシエ勲章、2003年にエルンスト・フォン・ジーメンス賞、2010年にヴェネツィア・ビエンナーレ金獅子賞、2014年にはドイツ連邦共和国大功労十字星章など、受賞、受章多数。
写真:SWR
訃報 〓 ヴォルフガング・リーム(72)ドイツの作曲家
2024/07/28
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