訃報 〓 ヴォルフガング・リーム(72)ドイツの作曲家

2024/07/28

ドイツの作曲家ヴォルフガング・リーム(Wolfgang Rihm)が7月27日に亡くなった。72歳だった。多作で知られ、“新ロマン主義”や“新しい単純性”を代表する作曲家で、オラトリオ、管弦楽曲、合奏曲、室内楽曲、音楽劇など、楽器や歌と始めとする生楽器のための音楽を600以上の作品を作曲。音楽活動に加え、ドイツ作曲家協会およびドイツ音楽評議会議長会メンバーなど作曲界のリーダーの一人として活躍した。

カールスルーエ生まれで、11歳で作曲を始め、長じて地元のカールスルーエ音楽大学でオイゲン・ウェルナー・フェルテから作曲と音楽理論を学んだ。1973年からケルン音楽大学のカールハインツ・シュトックハウゼンに、1974年からフライブルク音楽大学のクラウス・フーバーに師事。この年にドナウエシンゲン音楽祭で発表した管弦楽曲《モルフォニー-4部》で一躍その名が知られた。

1984年から音楽雑誌「メロス」誌の共同編集者、ベルリン・ドイツ・オペラ音楽顧問を務め、1985年には師のフェルテの後を受けて母校の作曲教授に就任。クラーニヒシュタイン音楽賞をピアノ・トリオ《見えざる情景》で受賞した後は作曲委嘱が殺到、作曲界での名声を確立した。

1988年に指揮者のクラウディオ・アバドが現代音楽祭「ウィーン・モデルン」を起ち上げると、ノーノやリゲティとテーマ作曲家に選ばれ、1991年にベルリン芸術アカデミーならびにバイエルン芸術アカデミー会員、1996年にはドイツ文学アカデミー会員。1997年にはベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、ルツェルン音楽祭の、2000年にはザルツブルク音楽祭のレジデント作曲家を務めている。

代表作に《13曲の弦楽四重奏曲》、《ルカ受難曲》、《大河交響曲へ向って》の他、《ハムレットマシーン》や《メキシコ征服》などのオペラがある。また、門下からレベッカ・サンダース、イェルク・ヴィドマンら多数の作曲家を輩出している。

1998年にベルリン自由大学名誉博士、2001年に仏芸術文化オフィシエ勲章、2003年にエルンスト・フォン・ジーメンス賞、2010年にヴェネツィア・ビエンナーレ金獅子賞、2014年にはドイツ連邦共和国大功労十字星章など、受賞、受章多数。

写真:SWR


関連記事

  1. ブレーメン発 〓 バレンボイム、久方ぶりに指揮台に復帰

  2. 訃報 〓 ディナ・ウゴルスカヤ(46)旧ソ連出身のドイツのピアニスト

  3. バイロイト発 〓 メゾ・ソプラノのエリーナ・ガランチャがバイロイト音楽祭デビュー、新制作の《パルジファル》のクンドリー役で

  4. ザールブリュッケン発 〓 ザールブリュッケン・カイザースラウテルン・ドイツ放送フィルの首席指揮者にジュゼップ・ポンス

  5. ベルリン発 〓 バレンボイムの功績に対して、ベルリン州立オペラが「名誉会員」、ベルリン・シュターツカペレが史上初の「名誉首席指揮者」の称号

  6. 訃報 〓 ピエール・アウディ(67)レバノン出身の演出家

  7. 訃報 〓 ヘスス・ロペス・コボス(78)スペインの指揮者

  8. 訃報 〓 ペーテル・エトヴェシュ(80)ハンガリーの作曲家・指揮者

  9. ドレスデン発 〓 ザクセン州立歌劇場が2020/2021シーズンの公演ラインナップを発表

  10. バイロイト発 〓 ソプラノのクリスティーン・ゴーキーがバイロイト音楽祭デビューを辞退

  11. イエナ発 〓 イエナ・フィルが音楽総監督のジモン・ガウデンツとの契約を延長

  12. ベルリン発 〓 ベルリン・フィルの新しいクラリネット奏者はともにスロベニア出身で同門という二人

  13. デュッセルドルフ発 〓 アダム・フィッシャーがデュッセルドルフ響との契約延長

  14. 訃報 〓 ペーター・ザイフェルト(71)ドイツのテノール歌手

  15. ベルリン発 〓 第2ヴァイオリンの首席にマレーネ・イトウ、ベルリン・フィル

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。