訃報 〓 スティーヴ・ダヴィスリム(57)オーストラリアのテノール歌手

2024/08/13

オーストラリアのテノール歌手、スティーヴ・ダヴィスリム(Steve Davislim)が8月11日にウィーンで急死した。57歳だった。死因はまだわかっていない。チューリッヒ歌劇場のメンバーとして歌手活動を本格的にスタート、その後、ウィーンを拠点にさまざまな歌劇場、音楽祭などで活躍していた。

マレーシアのペナンの生まれ。父親は中国系、母親はアイルランド系で、母方の祖母は1920年代にロンドンの王立音楽大学でオルガンを学んだオルガニスト、祖父はアマチュア演劇の活動をしていたという。その後、家族でオーストラリアに移住。タスマニア、メルボルンで育った。

8歳でホルンを始め、ヴィクトリアン音楽院に進んだが、途中で声楽の道へ。大学在学中から歌い始め、ビクトリア州立歌劇場で3年間歌った後に渡欧、1994年からスイス・チューリッヒ歌劇場のアンサンブル・メンバーとなった。

チューリッヒではロッシーニ《セビリアの理髪師》のアルマヴィーヴァ伯爵、モーツァルト《魔笛》のタミーノ、《コジ・ファン・トゥッテ》のフェルランド、《ドン・ジョヴァンニ》のドン・オッターヴィオなどの役を演じ、ニコラウス・アーノンクールに起用されてザルツブルク音楽祭にも出演している。

録音も多く、デイヴィッド・ジンマン、クリスティアン・ティーレマン、シモーネ・ヤングらとのセッションが残されている。日本では2018年、新国立劇場の《魔笛》公演にタミーノ役で本格的なデビューを飾っていた。

写真;Mozartstadt Augsburg


関連記事

  1. ザルツブルク発 〓 ティーレマンがバッハラーに“宣戦布告”

  2. ウィーン発 〓 国立歌劇場が新制作の《椿姫》をストリーミング配信

  3. ウィーン発 〓 ウィーン・フィルが2025年元旦の「ニューイヤー・コンサート」のプログラムを発表

  4. ウィーン発 〓 「ヘルムート・ドイチュ国際歌曲コンクール」でテノールの尼子広志が優勝

  5. ウィーン発 〓 国立バレエの芸術監督にアレッサンドラ・フェリ

  6. ウィーン発 〓 2023年の「ニューイヤー・コンサート」の指揮者はフランツ・ウェルザー=メスト

  7. 訃報 〓 レフ・マルキズ(92)ロシア出身のヴァイオリニスト、指揮者

  8. ウィーン発 〓 指揮者のマルコ・アルミリアートが国立歌劇場の名誉会員に

  9. ウィーン発 〓 ウィーン放送響の首席指揮者にマルクス・ポシュナー

  10. ウィーン発 〓 2025年元旦の「ニューイヤー・コンサート」の指揮者はリッカルド・ムーティ

  11. ブレゲンツ発 〓 ブレゲンツ音楽祭に1,000万人目の来場者

  12. 訃報 〓 クラウス・トゥーネマン(88)ドイツのファゴット奏者

  13. ウィーン発 〓 国立歌劇場の「オーパンバル」にアイーダ・ガリフッリーナとピョートル・ベチャワが出演

  14. ウィーン発 〓 国立歌劇場、2月第1週のストリーミング配信のラインナップを発表

  15. ウィーン発 〓 ソプラノ歌手のリンダ・ワトソンに「宮廷歌手」の称号

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。