オーストラリアのテノール歌手、スティーヴ・ダヴィスリム(Steve Davislim)が8月11日にウィーンで急死した。57歳だった。死因はまだわかっていない。チューリッヒ歌劇場のメンバーとして歌手活動を本格的にスタート、その後、ウィーンを拠点にさまざまな歌劇場、音楽祭などで活躍していた。
マレーシアのペナンの生まれ。父親は中国系、母親はアイルランド系で、母方の祖母は1920年代にロンドンの王立音楽大学でオルガンを学んだオルガニスト、祖父はアマチュア演劇の活動をしていたという。その後、家族でオーストラリアに移住。タスマニア、メルボルンで育った。
8歳でホルンを始め、ヴィクトリアン音楽院に進んだが、途中で声楽の道へ。大学在学中から歌い始め、ビクトリア州立歌劇場で3年間歌った後に渡欧、1994年からスイス・チューリッヒ歌劇場のアンサンブル・メンバーとなった。
チューリッヒではロッシーニ《セビリアの理髪師》のアルマヴィーヴァ伯爵、モーツァルト《魔笛》のタミーノ、《コジ・ファン・トゥッテ》のフェルランド、《ドン・ジョヴァンニ》のドン・オッターヴィオなどの役を演じ、ニコラウス・アーノンクールに起用されてザルツブルク音楽祭にも出演している。
録音も多く、デイヴィッド・ジンマン、クリスティアン・ティーレマン、シモーネ・ヤングらとのセッションが残されている。日本では2018年、新国立劇場の《魔笛》公演にタミーノ役で本格的なデビューを飾っていた。
写真;Mozartstadt Augsburg
訃報 〓 スティーヴ・ダヴィスリム(57)オーストラリアのテノール歌手
2024/08/13
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