訃報 〓 エディト・パイネマン(85)ドイツのヴァイオリニスト

2023/05/24

ドイツのヴァイオリニスト、エディト・パイネマン(Edith Peinemann)が2月24日に亡くなっていたことがメディアに伝えられた。85歳だった。残された録音は少ないが、ジネット・ヌヴーらと並んで、戦後を代表する女流ヴァイオリニストの一人として知られていた。

1937年、マインツの生まれ。マインツ楽団のコンサートマスターを務めていた父親から音楽の手ほどきを受けた後、ロンドンでマックス・ロスタルに師事した。1956年に19歳でミュンヘンのARD国際音楽コンクールに優勝し、審査員を務めた指揮者のウィリアム・スタインバーグに招かれ、1962年にピッツバーグ交響楽団と共演して米国デビューを飾り、国際的な演奏活動をスタートさせた。

米国のクリーブランド管弦楽団を率いていたジョージ・セルに高く評価され、ドヴォルザークのヴァイオリン協奏曲でクリーブランド・デビュー。セルとはカーネギーホール・デビューも飾った。南アフリカを好み、現地でも高い人気を得ていた。1960年代、70年代に5度、南アフリカ地域のツアーを行っている。

人気ヴァイオリニストながら録音活動にあまり積極的ではなく、協奏曲の録音は、セルとのベートーヴェン、ヨーゼフ・カイルベルトとのメンデルスゾーンとシベリウス、ペーター・マークとのドヴォルザーク、ギュンター・ヴァントとのプロコフィエフ、ルドルフ・ケンペとのベルクなど。

1976年にはフランクフルト音楽・舞台芸術大学の教授に就任。その後、クリーブランド音楽院、インディアナ大学ブルーミントン校、ルツェルン音楽院などで指導に当たり、日本の草津国際音楽アカデミー&フェスティバルの講師も務めた。また、2005年から20011年まではESTA(ヨーロッパ弦楽器教育者協会)の会長を務めた。

写真:Deutsche Grammophon





関連記事

  1. ベルリン発 〓 バレンボイムが健康上の理由から、5月1日のベルリン・フィル「ヨーロッパ・コンサート」の指揮から降板

  2. ミュンヘン・オペラ・フェスティバル 〓 予定通りの開催、カウフマンがトリスタンに初挑戦

  3. 訃報 〓 ロバート・ヘイル(90)米国のバス・バリトン歌手

  4. ボン発 〓 ベートーヴェン国際ピアノ・コンクールは予定通り12月開催

  5. ミュンヘン発 〓 イヴァン・レプシッチがミュンヘン放送管との契約を延長

  6. ベルリン発 〓 バレンボイム、80歳記念コンサートもキャンセル

  7. ハンブルク発 〓 ハンナ・チャンがハンブルク響の首席客演指揮者に

  8. ライプツィヒ発 〓 2024年の「バッハ・メダル」はアンドレアス・シュタイアーに

  9. ベルリン発 〓 ドイツのオペラ雑誌「Oper Magazin」が年間賞を発表

  10. ロイトリンゲン発 〓 ヴュルテンベルク・フィルの首席指揮者にアリアーヌ・マティアク

  11. バイロン・ジャニス(85)米国のピアニスト

  12. ハンブルク発 〓 第1回「ジェフリー・テイト」賞に若手ヴィオラ奏者のティモシー・リダウト

  13. ミュンヘン発 〓 ミュンヘン・フィルがトゥガン・ソヒエフを招いて特別演奏会を開催すると発表

  14. ドレスデン音楽祭 〓 「グラスヒュッテ音楽祭賞」の授与式をオンライン上で、ハンニガンと結んで

  15. ボン発 〓 若手指揮者のヨエル・ガムゾウが活動の半分を新作初演に当てる新しいオーケストラを創設

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。