ウィーン発 〓 国立歌劇場管のコンサートマスターにイスラエルの若手ヤメン・サーディ

2022/10/26

ウィーン国立歌劇場管弦楽団のコンサートマスターのオーディションで、イスラエルの若手ヤメン・サーディ(Yamen Saadi)が合格した。ライナー・ホーネック、フォルクハルド・シュトイデ、アルベーナ・ダナイローヴァに続く、4人目のコンサートマスターで、12月のバレエ《眠れる森の美女》が初仕事になるという。

国立歌劇場管弦楽団はウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の母体で、歌劇場での演奏以外の演奏時にその名を名乗るという立ち位置。4人目のコンサートマスターは2016年、ライナー・キュッヒルの後任としてブラジル系ドイツ人のホセ・マリア・ブルーメンシャインが着任したが、1シーズンで退団してしまい、それから空席が続いていた。

サーディは1997年、イスラエル・ナザレ生まれの25歳。ナザレはイエス・キリストが育った街として知られるが、イスラム教徒の家庭で育ち、ナザレに設立されたバレンボイム・サイード音楽院でヴァイオリンの手ほどきを受けた後、イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団のコンサートマスターを務めるチャイム・タウブに師事。さらにクロンベルク・アカデミーに進んで、ミハエラ・マルティンに師事した。

11歳でハイファ交響楽団と共演して最初のソロ・コンサートを行い、ダニエル・バレンボイムが率いるウェスト=イースタン・ディヴァン管弦楽団に入団。17歳だった2014年にコンサートマスターに就任、数多くの公演に参加してきた。

また、アビブ、ポール・ベン・ハイムのコンクールで優勝。昨年7月から3年間、フリッツ・クライスラーが1936年から45年まで使用していた1734年製ストラディバリウス「ロード・アマースト・オブ・ハックニー」を貸与されている。

この1月にはナタリア・ミルシテインの伴奏によるアルバム「Voices from Paris」をリリース。5月には、レオニダス・カヴァコスの代役に立ち、イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団のコンサートで協奏曲のソリストを務めている。

写真:Israel Philharmonic





関連記事

  1. 東京発 〓 新国立劇場が「巣ごもりシアター」第4弾のラインナップ発表

  2. ロンドン発 〓 デイヴィッド・コーエンがロンドン響の首席チェロ奏者に

  3. ウィーン発 〓 国立バレエの芸術監督にアレッサンドラ・フェリ

  4. インスブルック発 〓 チロル交響楽団の首席指揮者に英国の若手指揮者ケレム・ハサン

  5. ネイプルズ発 〓 ウィーン・フィルの米国ツアー、二人目の代役指揮者はデイヴィッド・ロバートソン

  6. ゲラ発 〓 ソプラノのアスミク・グリゴリアンにドイツの演劇賞「ファウスト賞」

  7. ベルリン発 〓 ベルリン・フィルがコンサート形式による《マゼッパ》をストリーミング配信

  8. 訃報 〓 ディミトリー・スミルノフ(71)旧ソ連出身の作曲家

  9. サンフランシスコ発 〓 サンフランシスコ・オペラが2025/2026シーズンの公演ラインナップを発表

  10. ワシントン発 〓 ナショナル・オペラが2020/2021シーズンの公演ラインナップを発表

  11. ウィーン発 〓 来年1月の《ナブッコ》で、ドミンゴが国立歌劇場にお別れ

  12. ウィーン発 〓 中止された公演の報酬めぐり、ザルツブルグ音楽祭に対して集団訴訟か。芸術監督の辞任も要求

  13. フォートワース発 〓 韓国のイム・ユンチャンが第16回「ヴァン・クライバーン国際ピアノ・コンクール」で史上最年少優勝

  14. ウィーン発 〓 国立歌劇場が新制作の《ファウスト》をストリーミング

  15. ドレスデン発 〓 空席だった聖母教会オルガン奏者に27歳のニクラス・ヤーン

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。