クリーブランド発 〓 オーストリアの実業家がマーラーの交響曲第2番《復活》の自筆譜をクリーブランド管に寄贈

2022/09/28
【最終更新日】2022/09/29

マーラーの交響曲第2番《復活》の自筆譜が先週、クリーブランド管弦楽団(Cleveland Orchestra)に寄贈された。寄贈したのは、オーストリアの実業家ハーバート・クライバー博士。それを記念して、オーケストラは105年目のシーズンの開幕を飾る9月29日と30日の演奏会で、音楽監督のフランツ・ウェルザー=メストの指揮で交響曲第2番を取り上げる。

自筆譜はかつて、実業家として成功した後、《復活》を指揮することを夢見てゲオルグ・ショルティらに師事、その後、《復活》だけを専門に指揮する指揮者として活動したギルバート・キャプランが所有していたもの。キャプランは生前、複製譜も出版。2016年に亡くなった後、サザビーズのオークションで匿名で落札されていた。

寄贈したクライバー博士は、クリーブランド管弦楽団の国際評議員、ヨーロッパ諮問委員会の議長、メトロポリタン歌劇場の諮問理事を務める人物。寄贈に当たり、「自筆譜を入手したとき、私は一時的な管理人として、この素晴らしい文書の永久保存先を見つける責任があるとわかっていた。近年、クリーブランド管弦楽団との素晴らしいコンサート経験が私を動かし、この偉大な文書に素晴らしい住処を提供することになった」と語っている。

オーケストラはコンサートに先立ち、28日に本拠地のセヴェランス・ホールで自筆譜を無料で公開する他、「クリーブランド美術館と共同で保存し、研究者に提供すると同時に、将来的には一般公開する」としている。

写真:Cleveland Orchestra


関連記事

  1. ウィーン発 〓 カウフマンがフランスのレジオンドヌール勲章コマンドゥール章を受章

  2. ロンドン発 〓 ロンドン響に二人の新しいコンサートマスター

  3. ワシントン発 〓 ナショナル交響楽団が中国公演を中止

  4. シカゴ発 〓 シカゴ響がコンサートを中止、ムーティに陽性反応

  5. プラハ発 〓 チェコ・フィルが音楽監督のビシュコフとの契約を延長

  6. パレルモ発 〓 マッシモ劇場が2022/2023シーズンの公演ラインナップを発表

  7. ミラノ発 〓 スカラ座総裁にウィーン国立歌劇場総裁のドミニク・マイヤー

  8. コンスタンツ発 〓 南西ドイツ・フィルハーモニー管が新しい“シェフ”探し

  9. ニューヨーク発 〓 メトロポリタン歌劇場がネット上でスター歌手40人超えの特別ガラ・コンサート

  10. ペーネミュンデ発 〓 ニューヨーク・フィルが新型コロナの世界的流行以来初の海外公演、ドイツ・ウーゼドム音楽祭に客演

  11. ミラノ発 〓 スカラ座がヴィットリオ・グリゴーロのリサイタルをライブ・ストリーミング

  12. ヴィースバーデン発 〓 ヘッセン州立劇場の音楽総監督に英国の指揮者レオ・マクフォール

  13. モスクワ発 〓 ワシリー・ペトレンコがスヴェトラーノフ記念ロシア国立響の芸術監督を辞任

  14. ニューヨーク発 〓 ストラディバリウス「ダ・ヴィンチ」、史上2番目の20億円超で落札

  15. パリ発 〓 終わらない国立オペラのストライキ、新制作の《マノン》の上演も断念

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。