米国の作曲家ジョージ・クラム(George Crumb)が2月6日、ペンシルバニア州メディアの自宅で亡くなった。92歳だった。死因は発表されていない。1960年から世界の前衛音楽の潮流を牽引、1967年に《時と河のこだま》でピューリッツァー賞を、2011年に《星の子供》でグラミー賞現代音楽最優秀作品賞を受賞している。
1929年、ウェストヴァージニア州のチャールストン生まれ。音楽一家で育ち、少年時代から作曲を始める。イリノイ大学で音楽を学んだ後、ベルリンに短期留学。帰庫してからミシガン大学で学び、1959年に博士号を取得した。
その後、作曲活動のかたわら、教壇に立って音楽教育に尽力、1958年にはコロラド大学でピアノと作曲の教授に就任、1965年からはペンシルヴァニア大学に転じ、30年近く教壇に立った。1983年にはアネンバーグ大学の人類学教授を務めている。
自然と音の交わり、音色を追求した作曲家として知られ、しゃべりながら管楽器を吹いたり、ピアノの内部の弦を弾いたりする特殊奏法を駆使して新しい音色を探求した。また、定形化された記譜法を使用せず、楽曲をコード化、視覚化した渦巻状や螺旋状の「図形楽譜」でも知られる。
代表作にデヴィッド・ボウイが最も好きなアルバムの一つとして挙げていた《ブラック・エンジェルズ》、バルトークの《ミクロコスモス》を見据えた4巻からなる大作のピアノ曲集《マクロコスモス》などがある。門下生からはオスバルド・ゴリホフなどがいる。
写真:Philadelphia Inquirer / Sarah Shatz
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