訃報 〓 グウェンドリン・キルブリュー(80)アメリカのメゾ・ソプラノ歌手

2022/01/17
【最終更新日】2023/02/06

米国出身のメゾ・ソプラノ歌手グウェンドリン・キルブリュー(Gwendolyn Killebrew)が昨年12月24日、自宅のあるドイツのデュッセルドルフで亡くなった。80歳だった。ザルツブルク音楽祭やバイロイト音楽祭など、ニューヨークのメトロポリタン歌劇場など国際的な舞台で活躍した。

1941年、フィラデルフィアの生まれ。フィラデルフィアのテンプル大学、ニューヨークのジュリアード音楽院、アスペン音楽祭で学び、26歳だった1967年にワーグナー《ワルキューレ》のヴァルトラウテ役でメトロポリタン歌劇場にデビューした。

この時の公演は、ヘルベルト・フォン・カラヤンが指揮に加えて演出を手掛け、ビルギット・ニルソン、トーマス・スチュワート、ジョン・ヴィッカーズ、グンドゥラ・ヤノヴィッツ、カール・リッダーブッシュ、クリスタ・ルートヴィヒらが出演した豪華な公演で、1968年にラジオ放送も行われている。

1968年にはカルメンを歌ってミュンヘンのバイエルン州立歌劇場にデビュー。1971年にワシントンのケネディ・センターの新しいオペラハウスがオープンした時には、ヒナステラ作曲のオペラ《ベアトリーチェ・チェンチ》の世界初演に参加した。

1972年にザルツブルク復活祭音楽祭、1973年にはザルツブルク音楽祭に出演。ザルツブルク音楽祭では、カラヤン指揮のケルン放送交響楽団らによって世界初演されたオルフ作曲のオペラ《時の終わりの劇》への参加だった。1978年にはバイロイト音楽祭にもデビュー。パトリス・シェローが演出を手掛けた《ニーベルングの指環》にも出演した。

1976年から2006年まではドイツのデュッセルドルフを本拠地とするライン・ドイツ・オペラの専属歌手となり、1988年には「宮廷歌手」の称号が贈られている。2009年にクリストフ・ロイ演出で上演されたオッフェンバック《美しきエレーヌ》バッキス役を歌ってオペラの舞台から引退、後進の指導に当たっていた。

写真:www.gwendolynkillebrew.com / Beth Bergmann


関連記事

  1. ニューヨーク発 〓 カーネギー・ホールが再開場祝うガラ・コンサート

  2. パリ発 〓 演出家のオリヴィエ・ピィがシャトレ座の支配人に就任

  3. アントワープ発 〓 アントワープ響の首席指揮者エリム・チャンが2023/2024シーズンをもって退任

  4. ライプツィヒ発 〓 ライプツィヒ歌劇場が3日からオペラ3作品をストリーミング配信

  5. シュトゥットガルト発 〓 クルレンツィスが南西ドイツ放送響との契約を延長

  6. グラーツ発 〓 オクサーナ・リーニフが劇場との契約を延長せず

  7. 訃報 〓 オシアン・グウィン・エリス(92)英国のハーピスト

  8. ロンドン発 〓 イングリッシュ・ナショナル・オペラの芸術監督にアンニリース・ミスキモン

  9. ロンドン発 〓 「オペラ・アワーズ」2021を発表

  10. ストラスブール発 〓 ストラスブール・フィルが音楽監督のアジス・ショハキモフとの契約を延長

  11. ベルリン発 〓 ベルリン・フィル初の女性コンサートマスター、ヴィネタ・サレイカ=フォルクナーが退団へ

  12. ワルシャワ発 〓 ワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団の次期音楽監督にアンドレイ・ボレイコ

  13. 東京発 〓 第33回「高松宮殿下記念世界文化賞」、音楽部門はピアノのクリスチャン・ツィメルマン

  14. プラガ発 〓 マリア・ジョアン・ピレシュが軽度の脳梗塞で当面のコンサートをキャンセル

  15. ライプツィヒ発 〓 ブロムシュテットがドイツ連邦共和国功労勲章の星付き大功労十字章を受章

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。