訃報 〓 ジョン・キンセラ(89)アイルランドの作曲家

2021/11/12
【最終更新日】2023/02/06

アイルランドを代表する作曲家の一人、ジョン・キンセラ(John Kinsella)が11月9日に亡くなった。89歳だった。作曲家のかたわら、アイルランド放送協会(RTÉ)の音楽部門の責任者、アイルランドのトップオーケストラであるRTÉ国立交響楽団のトップも務め、戦後のアイルランド音楽界を支えた。

キンセラは1932年、ダブリンの生まれ。ダブリン大学でヴィオラと和声、対位法を学び、そのかたわら作曲を独学で身に着けた。初期は当時の前衛的な作風からスタートするも徐々に離反。その背景には、1968年にアイルランド放送協会の音楽部門のシニア・アシスタントに就任し、楽曲管理の仕事を通じて現代音楽の潮流に触れ、それに幻滅していったとされる。

1983年から1988年にかけてRTÉ国立交響楽団のトップを務めた後、作曲活動に専念。オーケストラ曲と室内楽を中心に数多くの作品を残し、「アイルランド最高の交響曲作曲家」とされる。最後の交響曲第11番を2019年に発表していた。

写真:National Concert Hall / RTE National Symphony Orchestra


関連記事

  1. ベルリン発 〓 ドイツの音楽家6人が音楽家への支援を訴える書簡を文化大臣に、新型コロナウイルス禍で

  2. 東京発 〓 第34回「高松宮殿下記念世界文化賞」の音楽部門に米国のトランペッター、ウィントン・マルサリス

  3. ロンドン発 〓 ソンドラ・ラドヴァノフスキーがロイヤル・オペラの日本ツアーへの出演をキャンセル

  4. ウイニペグ発 〓 ウイニペグ響が楽団員111人全員をレイオフ

  5. 東京発 〓 第19回「東京国際音楽コンクール」はブラジルのジョゼ・ソアーレスが優勝

  6. ウィーン発 〓 2025年の「オーパンバル」はコルネリウス・マイスターが指揮、ナディーン・シエラ、ファン・ディエゴ・フローレスが出演

  7. ベルリン発 〓 ベルリン・フィルがコンサート形式による《マゼッパ》をストリーミング配信

  8. ジェノヴァ発 〓 カルロ・フェリーチェ劇場の音楽監督にリッカルド・ミナシ

  9. 訃報 〓 イヴァン・モズゴヴェンコ(97)ロシアのクラリネット奏者

  10. アムステルダム発 〓 ロイヤル・コンセルトヘボウ管が2024/2025シーズンの公演ラインナップを発表、クラウス・マケラと全米ツアー

  11. 訃報 〓 マリス・ヤンソンス(76)ラトビアの指揮者

  12. 訃報 〓 ピーター・ブルック(97)英国の演出家

  13. ロンドン発 〓 ウィグモア・ホールが全公演をキャンセル、閉鎖は7月末まで

  14. サンフランシスコ発 〓 サンフランシスコ・オペラの次期音楽監督にキム・ウンソン

  15. ウィーン発 〓 国立歌劇場が2020/2021シーズンの公演ラインナップを発表

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。