ハンガリー出身のピアニスト、タマーシュ・ヴァーシャーリ(Tamas Vasary)が5日に亡くなっていたことが判った。92歳だった。ハンガリー動乱で母国を離れた後、ピアニストとして活動する一方、英国のノーザン・シンフォニアの芸術監督、ハンガリー放送交響楽団の首席指揮者を務め、300を超えるタイトルの録音を残している。
ルーマニア国境に近いハンガリー第二の都市デブレツェンの生まれ。8歳でモーツァルトのピアノ協奏曲を演奏して舞台デビューするなど神童として注目を集め、ブダペストのリスト音楽院に進み、14歳だった1947年に音楽院で開催されたリスト音楽コンクールで優勝。その後、エルンスト・フォン・ドホナーニらに師事、ゾルターン・コダーイの助手を務めた。
1955年には、第5回「ショパン国際ピアノ・コンクール」で佳作を受賞。しかし、1956年にハンガリー動乱が勃発し、師のドホナーニやゲオルグ・ショルティら多くの音楽家が出国、両親も国外追放されたことで母国を離れ、ベルギーを経てスイスに移住、その後、スイス国籍を取得した。
1960年から欧米の主要都市でデビュー。ロンドンに拠点を移した後、「ドイツ・グラモフォン」と契約を結び、モーツァルトの協奏曲をはじめ、ショパン、リスト、ラフマニノフといったロマン派のピアノ作品を中心に20タイトルを超える録音を残している。ドイツ・グラモフォンの他、スプラフォン、シャンドス、フンガロトンら6つのレーベルで録音を行っており、その数は300タイトルを超える。
指揮者としては、1979年から1982年まで英国のノーザン・シンフォニアの芸術監督を、イヴァン・フィッシャーと共同で務めた。また、1993年から2004年までハンガリー放送交響楽団の首席指揮者を務めている他、英国の主要なオーケストラに客演、米国でもピアニスト、指揮者として定期的に活動していた。
写真:Magyar Rádió Szimfonikus Zenekarának / Vörös Attila

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