米国のトランプ大統領が2月1日、自身のソーシャル・メディアを通じて首都ワシントンにある文化の殿堂「トランプ・ケネディ・センター」の閉鎖を宣言した。それによると、センターを7月4日に閉鎖、2億5,700万ドル(約400億円)の予算をかけて2年にわたるリニューアル工事を行うという。センターは2019年、大規模な改修と拡張工事が行われており、今回の突然の決定が物議を醸している。
センターは1971年、第35代大統領ジョン・F・ケネディ(1917-1963)を記念する施設としてポトマック河畔にオープン。1997年に大改修が行われ、中にナショナル交響楽団が本拠地とするコンサート・ホール(2,442名収容)、オペラ・ハウス(2,300名収容)、アイゼンハワー・シアター(1,100名収容)、ファミリー・シアター(324名収容)、テラス・シアター(513名収容)を持つ。年間の音楽や演劇など公演数は2,000を数え、約200万人が訪れる芸術の殿堂として知られてきた。
トランプ大統領は2期目の政権が発足してすぐ、理事長、会長らを更迭、首脳部を共和党系の側近で固めた。これにセンターの芸術顧問を務めるルネ・フレミング、ナショナル響の芸術顧問を務めていたロック・ミュージシャンのベン・フォールズら民主党系の一部の芸術家が反発して辞任するなど共和党勢力対民主党勢力の衝突の場にもなってきた。
2月には大統領自らが理事長に就任。さらに年末になって理事会がそれまでの「ケネディ・センター」の名称を「トランプ・ケネディ・センター」に改名することを決議、すぐに表記、センターの銘板が変更された。この動きにさらに公演をキャンセルするアーティストが出るなど反発が広がっていた。
さらに今年に入り、センターはナショナル・オペラとの専属提携を解消、オペラ側が新たな会場を探すことになった他、ソプラノ歌手のルネ・フレミングがコンサート出演をキャンセル。加えてつい先日、作曲家のフィリップ・グラスが6月に予定していたリンカーン大統領に捧げた交響曲第15番の初演を中止している。
一方で、大口スポンサーの一部が撤退、ベテランの職員の解雇、退職が続いており、チケット販売が低迷しているとされる。突然の宣言の背景には、改修工事を理由に閉鎖させ、新体制に移行後の不振ぶりが露呈しないようにするためという穿った見方も浮上している。
また、突然の宣言に大慌てなのが、ナショナル響。オペラと違い、センターに残留することを表明していたが、2026/2027シーズンから当面の演奏会場を探さなくてはならなくなり、既に組み上がりつつあったプログラムの見直しを迫られているという。
写真:KQED
ワシントン発 〓 トランプ大統領が「トランプ・ケネディ・センター」の閉鎖、リノベーションを突然宣言
2026/02/03
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