ワシントン発 〓 トランプ大統領が「トランプ・ケネディ・センター」の閉鎖、リノベーションを突然宣言

2026/02/03

米国のトランプ大統領が2月1日、自身のソーシャル・メディアを通じて首都ワシントンにある文化の殿堂「トランプ・ケネディ・センター」の閉鎖を宣言した。それによると、センターを7月4日に閉鎖、2億5,700万ドル(約400億円)の予算をかけて2年にわたるリニューアル工事を行うという。センターは2019年、大規模な改修と拡張工事が行われており、今回の突然の決定が物議を醸している。

センターは1971年、第35代大統領ジョン・F・ケネディ(1917-1963)を記念する施設としてポトマック河畔にオープン。1997年に大改修が行われ、中にナショナル交響楽団が本拠地とするコンサート・ホール(2,442名収容)、オペラ・ハウス(2,300名収容)、アイゼンハワー・シアター(1,100名収容)、ファミリー・シアター(324名収容)、テラス・シアター(513名収容)を持つ。年間の音楽や演劇など公演数は2,000を数え、約200万人が訪れる芸術の殿堂として知られてきた。

トランプ大統領は2期目の政権が発足してすぐ、理事長、会長らを更迭、首脳部を共和党系の側近で固めた。これにセンターの芸術顧問を務めるルネ・フレミング、ナショナル響の芸術顧問を務めていたロック・ミュージシャンのベン・フォールズら民主党系の一部の芸術家が反発して辞任するなど共和党勢力対民主党勢力の衝突の場にもなってきた。

2月には大統領自らが理事長に就任。さらに年末になって理事会がそれまでの「ケネディ・センター」の名称を「トランプ・ケネディ・センター」に改名することを決議、すぐに表記、センターの銘板が変更された。この動きにさらに公演をキャンセルするアーティストが出るなど反発が広がっていた。

さらに今年に入り、センターはナショナル・オペラとの専属提携を解消、オペラ側が新たな会場を探すことになった他、ソプラノ歌手のルネ・フレミングがコンサート出演をキャンセル。加えてつい先日、作曲家のフィリップ・グラスが6月に予定していたリンカーン大統領に捧げた交響曲第15番の初演を中止している。

一方で、大口スポンサーの一部が撤退、ベテランの職員の解雇、退職が続いており、チケット販売が低迷しているとされる。突然の宣言の背景には、改修工事を理由に閉鎖させ、新体制に移行後の不振ぶりが露呈しないようにするためという穿った見方も浮上している。

また、突然の宣言に大慌てなのが、ナショナル響。オペラと違い、センターに残留することを表明していたが、2026/2027シーズンから当面の演奏会場を探さなくてはならなくなり、既に組み上がりつつあったプログラムの見直しを迫られているという。

写真:KQED


関連記事

  1. ムンバイ発 〓 若手歌手のための「オペラリア」、2024年はインドのムンバイで

  2. ニューヨーク発 〓 米国のエンタメ・サイト、メトロポリタン歌劇場の次シーズンをスクープ !?

  3. ウィーン発 〓 フルートのカレッドゥ、ウィーン・フィルの依頼を快諾

  4. ザルツブルク発 〓 復活祭音楽祭、2023年のオペラはカウフマン主演の《タンホイザー》。レジデント・オーケストラにアンドリス・ネルソンス率いるライプツィヒ・ゲヴァントハウス管

  5. アトランタ発 〓 音楽監督のナタリー・シュトゥッツマンとの契約を延長、アトランタ響

  6. 訃報 〓 イゴール・オジム(92)スロヴェニア出身のヴァイオリニスト

  7. パリ発 〓 フランスの週刊風刺新聞が指揮者のフランソワ=グザヴィエ・ロトのセクハラ行為を告発

  8. ロンドン発 〓 英国の音楽雑誌「BBCミュージック・マガジン」が年次賞を発表

  9. トロント発 〓 カナディアン・オペラ・カンパニーが2020/2021シーズンの公演ラインナップを発表

  10. ベルリン発 〓 ベルリン・フィルが5月1日に恒例の「ヨーロッパ・コンサート」

  11. ルツェルン発 〓 ピアノのアルゲリッチが約1ヵ月ぶりに現場復帰、心臓の検査と治療経て

  12. ヴェネツィア発 〓 フェニーチェ劇場が2024/2025シーズンの公演ラインナップを発表

  13. ニューヨーク発 〓 メトロポリタン歌劇場が“Nightly Met Opera Streams”の第9週のラインナップ発表

  14. ウィーン発 〓 国立歌劇場で陽性反応、《フィガロの結婚》と《カルメン》上演延期を発表

  15. ロサンゼルス発 〓 第66回「グラミー賞」発表

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。